判決を受け、江蔵さんの反応は?

吉田遥記者
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━━前回の裁判を経て、弁護団もかなり力を入れて、アプローチの仕方も変えたのか?

「やはり国際条約は抽象的なものが多く、そういう権利が人にあってもその権利を行使するためにどういった法律を適用して、実際に調査をする必要があるのかどうかというのはちゃんと規定されていない。そのため、弁護団の代理人の1人は『自信はあった。頑張ってはきたけれども、正直裁判所に認められるかどうかは不安だった』と語っている。判決の中で、国際条約をもって調査をすべきだという判断にはなってはいないが、産んだ親に対してちゃんと子どもを安全に引き渡すという契約がずっと続くもの、消滅するものではないと認定して今回の判決を導いたということだ」

━━判決を受け、江蔵さんはどのような反応だったのか?

「私も法廷の中で一緒に傍聴していたが、判決が言い渡される前、江蔵さんはずっと目を閉じて、何か祈るような、集中するような表情をされていた。その後、閉廷すると代理人の弁護士が『良かったね』という風に江蔵さんの背中をポンと叩いた。ただ江蔵さんはその表情が明るくなることはなく、深く裁判長に一礼をしている姿が印象的だった。会見の中でもちょっと複雑な気持ちだということは言われていて、とにかく早く真の両親に会いたい。育ての親のお母様も90歳を超えて高齢になって時間もないので、とにかく早く調査をしてほしいという切実な思いを訴えられていた」

━━東京都側の反応は?

「一応コメントを出しており、判決の精査ができていないようだったが『判決内容を踏まえて対応検討する』というコメントを出している。今回は一審の判決であり、14日以内に東京都が控訴すれば、東京高裁でこの裁判が続くということで、江蔵さんらは控訴しないように東京都に申し入れをすると言われていた」

━━控訴する可能性はあるか?

「これはなんとも言えない、というのが個人的な印象だ。調査自体はそこまで大変なことではないと思うが、前回の訴訟の時も当時の石原都知事が『調査には協力しない』と会見で発言するなど、東京都側がどういう動きを見せるかは見えない部分がある。ただ、前回東京高裁の判決が出た後に上告はせずに確定してるので、江蔵さんに寄り添った判断をしてくれるのであれば、東京都は控訴しないのではないか」
ABEMA/ニュース解説

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「気持ち悪い」 小学校隣接の公園で性的ビデオ撮影
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