■全国規模のデモには政府も反応

ひろゆき氏
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 財務省解体デモは、止まらない物価高騰や、不透明な経済状況の中で、財務省の前で消費税の減税などを人々が訴えることから始まった。消費税の減税、いわゆる「103万円の壁」撤廃などについての議論は、近年でも繰り返し行われてきた。政治学者で高千穂大学教授の五野井郁夫氏は「もともと国民民主党が、減税やガソリンのトリガー条項をやると言い出した。今一番、野党で支持率があるのは国民民主党。与党もうかうかしていられず、減税をやらなきゃという気持ちになってきているので、そこの援護射撃にはなっていると思う」と、ある程度、このデモが議論の流れを後押ししていると評価した。

 デモ参加者も、国民の負担軽減について声を上げ、政府も反応しているだけに、ここだけ見れば意義あるものだが、この大きな流れの中に、異なるものが入り込んできた。「政治に対して声を上げること自体は非常に評価し得る。しかし、残念ながらXのトレンドなどを見ていると、ロシア系のいわゆるプロパガンダアカウントであったり、あるいはあからさまにディープステート陰謀論を掲げる人たちが入ってきている。こうなると、主催者がしっかりしないと乗っ取られる」と、本来の目的とは異なる方向へと導かれてしまう危険性を訴えた。

 ひろゆき氏も、同様の問題を指摘する。「社会に不満があって、社会を変えたい人たちのエネルギーを、ちゃんと社会を変える方向に持っていければいいが、たぶん失敗するだろうと予測していた通り、エネルギーが間違った方向に使われてしまっている。『この人たちなら乗っからない』と一般の人たちが離れてしまった」。盛り上がりの一つの指標として、Googleトレンドの検索数を見ると「財務省解体デモ」は、「ひろゆき」を下回り、むしろ盛り下がる方向に進んでいるとも述べた。

■極端な思想が混じり始めたデモに危機感
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