■演出と虐待の境界線
動物系の動画コンテンツには、「エンタメ」なのか、「虐待」なのかの評価が分かれるものもある。例えば、「猫の背後にキュウリを置き、驚いて飛び上がる様子を撮影」といった動画には、重大なストレス・不安障害などのリスクが指摘される。また「猫を背中から地面に落とし翻って着地できるか撮影(通称:キャットドロップチャレンジ)」には、骨折、内臓損傷、恐怖心などのリスクの指摘が。「犬に人間用の化粧をしコスプレさせた動画」にも、化粧品による皮膚トラブルなどのリスク指摘がある。
ペット系YouTuberとして活動しながら、SNSの収益化など運用に関するコンサルも行う、おにゅーさんは、「『うちのカワイイ子を見て』という気持ちから、私も最初はSNSを始めた。ゴールデンレトリバーの成長過程を付けるために始めたが、思いのほか好評で収益化できた」と振り返る。「収益化できると、ペットにもっとお金をかけられる。人間より短い人生の中で、どんな思い出を作ってあげられるか。旅行やドッグランに連れて行ったり、高額な治療費や手術費にも回したりもできる」。
猫YouTuber歴10年目のあつしさんは、「13年前から動画投稿が趣味で、拾った猫についても投稿した。2年ぐらいで収益化できて、当時はバイト生活の大学生だったため、猫の食事や手術代が助かった。モチベーション面でも承認欲求だけではなかなか続かない」と話す。
そんな2人も、かつて炎上した経験がある。あつしさんは、3匹の猫と暮らしているときにカワウソを迎えたが、猫との同居を心配するコメントなどが多数寄せられた。体調を崩していたこともあり、結果的に悩んだ末に購入した店に返すことにし、動画投稿も一時休止した。おにゅーさんも、TikTokに「愛犬の去勢手術してきました!」と投稿したところ、400万再生されたものの、「ひどい」などの批判も見られ、コメント欄は賛否議論で大荒れになった。
おにゅーさんは「たくさんの人が見ることを念頭に置かなければいけなかった」と反省している。「犬や猫を飼ったことがある人なら『去勢手術はある』という感覚だが、飼ったことのない人だと、『動物の生殖器に手を入れるのは良くない』と考える人もいると勉強になった」。
動物系YouTuberに対しては「金銭目的でペットを飼っている」という批判も見られる。これにあつしさんは、「ペットを収益化の道具に使っている人も確かにいる。ただ、不幸にさせる目的で飼うのは、動画として成り立たない。自分がもうけるためだとしても、動物たちにもメリットがないといけない。幸せにできるのなら、収益目的の立場も百歩譲っていいのではないか」と持論を述べる。
■「ペットはビジネスパートナーと発信した方がいい」
