■ネットギャンブルをした中学生の親が「損失分の調整も学校がしろ!」
三重大学教育学部教授で、マニュアルは必要だという松浦直己氏。「モンスターペアレントに明確な定義はなく、常識をはるかに逸脱した要求、不当な要求を繰り返す方々を指すと考えている」との認識を示した上で、最近の具体事例をあげる。中学生がネットギャンブルをしたことに対して、親が「学校で違法と教えていないからだ!損失分の調整も学校がしろ!」と要求。小学生同士が放課後、学校外で起きたけんかに対して、親が「いじめや対人関係のトラブルは全部学校の責任だ」と主張してきたという。
番組取材によると、都内在住で小学校低学年/中学生(当時)の母親が、席の近い子から嫌なことをされたために「席を変えて」、持ち物の紛失が多いために「盗難ではないか。調査して」と学校に要望。担任と交渉も結論が出ず、「管理職と話したい」と校長とのアポを取ったところ、校長から「特別扱いで対応できない」と言われ納得したそうだ。
これに大阪大学名誉教授の小野田正利氏は、「いじめに関連して席を変えてほしいという要求は、正当なものに入る」と説明。「“安心安全な学習環境を用意する”という内容が、いじめ防止対策推進法の第23条第4項に入っている。“席替えしてほしい”という要求を出すこと自体は悪くなく、できないと言われた後に“別室指導しろ”“その子を転校させろ”と言うのは行き過ぎになる」との見方を示す。
また、学校外で起きたけんかの対応も「いじめなら学校がやらなければいけない」と指摘。「いじめに関わることは全て学校の守備範囲で、SNSでのトラブルも全部学校がやれとなっている。子どもの生活に関わるかなりの範囲まで学校の責任領域にしてしまったのが、12年前にできたいじめ防止対策推進法だ。私は良くない法律だと言い続けているのだが、これが学校現場の先生たちを苦しめている」と述べた。
■学校現場の事象は千差万別…必要な“マニュアル”とは?
