■今後の対策は

不起訴件数
拡大する

 北九州市の殺傷事件も突然起きたように、日常生活を送る上でいつどこから襲われるかわからないという不安はつきまとう。刑事責任能力がないとされた加害者は、罪に問われないまま暮らし続けているのか。岩波氏は2005年から施行された医療観察法について説明する。「殺人事件を含めた重大事件の加害者で、心神喪失等になった人をそのまま野放しにはせず、指定医療機関の専門病棟で数年間治療・教育するシステムができた」。木村さんも「不起訴になった後でも、医療機関での治療や社会復帰のための施設がある。そこでは3年や5年かけて拘束される」とし、心神喪失で不起訴となる件数が年間300~500件あることにも「精神障害者全体が起こす事件からするとほんの数%。そういう方々以外はみんな裁判にかかり判決が出て、留置所に行ったりする。心神喪失者が全て無罪になって放免されることはない」と一般的に抱かれるイメージとのギャップを指摘した。

 北九州市のような事件を繰り返さないために、社会はどのような対策を講じるべきか。岩波氏は「やはり予防だと思う。(事件を起こす)予兆はあるので、その時点で捉えて医療が対応できるかどうか。実際に地域の保健師さんもいろいろ努力をされているが人権の壁、家族の壁もありなかなか難しい」と対策と課題の両面をあげる。「イギリスでは19世紀からスペシャルホスピタル(特殊病院)があり、精神障害を持った犯罪者を集めたことがあったが、最近ではより小さな治療施設を地域ごとに作って、非常に手厚く社会復帰させるようなことが行われていて、日本も多少真似をしている」。これにはEXIT兼近大樹も同意見で「心身喪失者の方たちを合法で拘束できる大きな場所、刑務所とは別に保護する場所が必要だと思う」と述べていた。
(『ABEMA Prime』より)
 

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