生成AIやデジタルツールに精通したスペシャリストが、生産性の向上を目指す企業をサポートするサービス「AI女子」は、開始から間もなく1年を迎える、まだ真新しい業態だ。
サービスを提供しているコクー株式会社 執行役員/AI事業部の事業部長・田部井正氏は、以下のように思いを語った。
「女性やシニアや外国人、障害者、LGBTQ、全ての人たちの活躍が期待されており、この中でも最も人口の多くの割合を占めているのが女性だ。ここをまず第一ステップとして社会課題解決というところに取り組みたい」(コクー株式会社 執行役員/AI事業部の事業部長・田部井正氏、以下同)
では、実際「AI女子」を導入した企業ではどんな効果が現れているのだろうか。
「大手コンビニチェーンさんのSVさんの業務で、成功事例の資料を作ったり、求人広告のPR内容を考えたり、またはクレーム等々の返信。まさにそういうことを考えたり、文章を作ったりというところは生成AIの得意とするところになるため、そこに適したプロンプトの構築や、使い方のレクチャーみたいなところをAI女子が行った。それによって1週間で約1250時間の時間削減になっている」
これまでも、デジタル技術をサポートする業態はあったはずだが、「AI女子」はそれらとどう異なるのか。またその特徴を田部井氏は以下のように解説する。
「現場に常駐し、その現場の方々がどんなことに日々困っているのかというところから横で観察し、業務整理みたいなところをさせていただく。そうすることによって、気付いていないところに対しても『ここって生成AI使うことによって自動化できますよ』とか、『アウトプット出てきますよ』みたいなこともアドバイスをさせていただいている。寄り添いながらやっていくため、当事者意識も生まれて、継続率、定着率みたいなところも上がってくる」
一定周期で一時的に行うコンサルティングというレベルではなく、「配置先の企業にどっぷり浸かって」「“課題解決さがし”から始める」という手法だ。
「AI女子」を知らなかったというAI研究者の今井翔太氏。AI導入への“心理的障壁”について、以下のように述べた。
「我々が現実的に直面しているのは、『置き換えられるのは怖い』と言う人はいる。例えば労働の現場にAIを入れて、一番極端なことだともちろん『仕事を奪われました』で、『さよなら』となること。AIで効率化しても、資本主義は競争社会のため、今まで1時間でやっていたことが10分でできるようになっても、残りの50分休めるかというと、休めない。『その50分でまた別の業務やってくださいね』となってしまうため、AI導入しても下手すれば仕事が奪われるかもしれない。成功して自分の役割が残っていたとしても業務が圧縮されるかもしれない。それは結局、『労働者にとってありがたいことは何だっけ』となるため、怖がっている人はいるらしい」
AI女子が感じた課題とは?
