■ポイントは「子どもと距離を置く」
産後うつへの対策は、どうしていけばいいのか。産後7カ月で入院することになったミカさんは、医師から子どもとの距離を作ることを強く伝えられた。「周りからも子どもから離れなさいと言われたが、当時は『母親が子どもから離れるなんて』という気持ちがすごく大きかった。ただ主治医の先生から『子どもを養護施設に預けてでもいいから離れないとダメ』と、グサッと言われた。病気の意識を持って離れることが治療になるし、子どもを守ることにもつながると言われて納得した」。
現役保育士で育児アドバイザーのてぃ先生も、保育現場で「子どもと離れる」ことの事例を紹介する。「仕事として子どもを見ている保育士でさえ最近は『ノーコンタクトタイム』といって、休憩中は子どもと一切関わらないようにしている。ずっと子どもと一緒にいるとイライラしたり、いつもだったらしないような対応をしてしまう」と、向き合い続けないことの重要さを説いた。弟が育児真っ最中というコラムニスト・小原ブラスは「僕が見ている限りだが仕事もして、家では育児をすごく手伝っている。それを見ていると育児ノイローゼになるのではと心配するぐらい。子育ては1人でできるものではないが、お父さん・お母さんがいたとしても、できるものではないと認識した方がいい」と、夫婦だけでも足りないケースは大いにあると述べた。
高尾氏は産後うつを抱える母が精神科、心療内科にかかりたくても、なかなか予約が取れないという状況もある中、出産をした産婦人科に戻って相談することも選択肢に挙げる。「1カ月検診が終わるともう産婦人科にかかることはなく、3カ月検診も小児科になる。それでも産婦人科に行ってもいい。産婦人科ができることは多くないが、心療内科や精神科に行くことの提案や紹介状を持たせることはできる」。また日々の生活としても周囲からのコミュニケーションを絶やさないことを求めた。「社会から孤立させないことが一番大事。(メールの)返事が来ないとしても、メッセージを届けるだけでもいい。(本人ではなく)パートナーとコミュニケーションが持てるのであれば『ちょっと専門家のところに行った方がいいかも』とパートナーに伝えていただけると本当にいい」。
(『ABEMA Prime』より)

