5月16日に閣議決定する方針の「年金制度改革法案」。石破総理は少数与党として、難しいかじ取りを迫られている。
【映像】「遅すぎ」「一番の肝が抜けてる」“年金改革法案”に対する各政党の批判
この状況を、報道ベンチャー「JX通信社」の代表取締役・米重克洋氏は以下のように分析する。
「やはり年金は、時の政権にとってすごく鬼門になるテーマ。年金制度は、何十年とか100年とかっていう単位でちゃんと続けていかないといけないので、5年に1回、財政検証ということで見直しを図っていく。だから、こういう立法作業というのは必ず必要にはなるが、とはいえ、誰かが損して誰かが得するみたいな、みんなが得するような改革というのはできないため、選挙前にこういうものを出すのはリスクがあるという判断に、与党はなっているんだと思う。それに対して批判が出るのは致し方のないこと」
一方で有権者の関心事は物価高に集中しているという。
「今、報道各社の世論調査を見ていくと、やはり物価高が全世代的な関心になっている。普通は、例えば経済や景気、教育などというのは比較的若い世代の関心事で、医療や福祉になると高齢者の課題という形で関心が年代ごとに分かれるが、全世代が等しく物価高騰対策を求めているというのは、ある意味異常な状態。そういうものに対してみんな困っているからこそ、物価高対策としての減税というのを強く求める風潮ができている。それに対して、財源論はさておき、まずやっぱり減税してほしい、負担を減らしてほしいという世の中なので、それに合わせていかないと選挙も勝てないんじゃないかという議論が与党からも出てくる状況」
夏の選挙に向け各政党の動きに注目が集まる中、米重氏は石破政権について能動的に物価高対策をしている雰囲気が見られないと指摘する。
「少なくとも世論調査でも、あるいは私自身も一般的に見て思うのは、なかなか経済とかあるいは物価高ということに対して、能動的にどんどん対策を打っていこうという雰囲気があまり感じられないところは、厳しいという印象。特に、“減税という風潮”みたいなものはあるが、予算委員会でも『石破政権で物価高対策、何もしてないじゃないか』という追及をされ、『いや、所得税の減税とかやりました』と、本人が一生懸命答弁をした。ただ、それも国民民主党に言われてやったことであると。それ以外にも、これは野党とか公明党から提案があってやったことで、自分たちで進んでやったことというのがあまり見られないというのが実態。そういうところは選挙で厳しく見られてしまうのではないか。そういう世論の関心事は、正しく官邸や与党がつかめているのか不思議に思う」
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