■ストリップは公然わいせつ?

東洋ショー劇場
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 今回の容疑となっている「公然わいせつ」とは、どのような定義なのか。刑法第174条では「公然とわいせつな行為をした者は、六月以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する」と定められている。構成要件となるのは、「公然性」「わいせつ性」「故意であること」だ。

南和行弁護士
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 なんもり法律事務所の南和行弁護士は、昭和20年代の判例を引き合いに出し、「『いたずらに性欲を興奮または刺激させる』ものを取り締まるとしても、それは性器が見えるか否かに限らない。しかし、解釈と適用が逆転して、『性器が見えたからわいせつだ』となっていった」と語る。

 そして結果として、「政治的な意図や、社会的キャンペーンとして、『ここで1回締めとかないと』と、一番人気があるところを摘発して、業界がおさまるようなことが繰り返され、悪循環になっている」と指摘する。

 こうした背景から「ストリップ劇場の客の減少と、摘発は連動していない」と推測する。「女性の美やショーを楽しみに来る客と、性的なエロ目的で来る客がいる。エロのツールが多様化する中、パフォーマンスを目的とする客だけになると、どうしても集客が伸びないのではないか」。

要友紀子氏
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 「東洋ショー劇場を守る会」のメンバーである要友紀子氏は、「ストリップ劇場の客は、踊り子が何をするのか理解した上で、チケットを買っている。また、『屋内でのショーは公然ではないのでは』という議論もあり、“公然わいせつ”を当てはめるのは違うのではないかとの意見がある。客もエロ目的だけでなく、“推し活”としている人もいる。ショーは老若男女だれもが心打たれるような内容だ」と説明する。

 「ストリップである必要はあるのか」といった疑問に対しては、「その人の身体表現について、どこまで公権力が介入できるのか」を論点として示す。「局部を人前で見せていい人、悪い人を法律で決めていいわけではない。通常であれば『誰が被害者なのか』といった、公共の福祉との兼ね合いのもと、表現の自由が認められる。警察は何を守るために、ショーを検閲したり介入したりするのか」。

 南氏は「論点は理解できるが、『法律が悪い』『警察が悪い』と言っても、現実として刑法には『公然とわいせつをしたら犯罪だ』としか書かれていない。運用上の定義は、仮に屋内であっても、1人、2人の次は、もう“公然”となる解釈になっている」と説く。

■「法律が悪いのではなく、解釈の問題」
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