■配達員増加には待遇改善が必須か
配達員のイメージを下げているといわれるのが「送料無料」という表現だ。ECサイトなどには商品自体の価格は明記されているが、購入者への訴求として送料無料という表現が多い。ただし実際に無料で配達されることはなく、商品価格などに上乗せされているケースがほとんどだ。矢野氏は「『送料無料』という表示には、物流事業者が反対しているし、本当の意味で無料なんてありえない。だから本来『通販事業者負担』と書けばいいが送料無料、事業者負担と書かれていたら消費者からすれば同じはずなのに、送料無料の方に流れていく」と、消費者にとって「無料」という言葉が魅力的に映ってしまっている。その結果、配達員などが「自分のサービスな無料ではないのに」と思うケースも少なくない。
配達員のイメージ向上には何が効果的か。矢野氏はダイレクトに待遇の改善を求める。「配達員が非常に足りなくなっているのは確か。やはり給料、収入が相当に厳しいので残念ながら(職業として)あまり魅力的ではない」と述べるとEXIT兼近大樹も「配達員が魅力不足なら、そもそもの金額をなぜ上げないのか。配達料金を上げれば、配達員の給料も上がる。設定金額が高くても頼む人は頼むし、高いと思うなら自分で取りに行く人も増えるはず。全体的に金額を上げれば全部解決する」と続いた。環境副大臣を務める自民党・小林史明衆議院議員も「市場原理では(給料を)上げるしかない。今タクシー運転手が増え始めているのも、やはり給料が良くなっているから。軽井沢に行けば月100万円ぐらい取れることもある」と配達料の値上げによる待遇改善を求めていた。
なお、配達員の負担をさらに増している要因の一つが「再配達」だ。2024年には約10%が再配達されているといい、その数は年間で約5億個にも及ぶ。解決策としては「宅配ボックスの設置」「コンビニ受け取りや宅配ロッカー活用」「時間帯指定の徹底と細分化」「置き配の活用」「再配達有料化」などがあげられているが、小林氏は「再配達は追加のサービス。付加価値としてお金が取れる状態にする方が市場原理としてはおそらく正しい」とも語っていた。
(『ABEMA Prime』より)

