K-1アマチュアで2度の優勝経験を持つ龍に対し、町分は2018、2019、2021年の正道会館全日本大会を制した空手エリート。33歳でキックボクシングに転向し、この試合がKrush初挑戦だった。道着姿で神妙な面持ちで登場した町分に対し、龍はカメラをガン睨みしながら「アピールしたいのは髪型」とスパイキーアフロを強調。ファンからは「目が怖い」「この顔はガチ」「龍の1R KO負けと予想」など、見た目の印象だけでも注目を集めていた。
試合開始直後、キャラの違いが露わになる。フェアにグローブタッチを求めた町分に対し、龍はこれを無視。開始直後、龍の右ストレートをモロに被弾した町分は冒頭からグラつく。すぐに立て直しワンツーを返すが、龍の右ストレートが再びヒットし、開始わずか10秒で最初のダウンを喫してしまう。
ここは立ち上がり、接近戦に応じた町分だが、ダメージは抜けきらない。勢いを増した龍は左でアゴをとらえ、さらに振り抜いた右でなぎ倒すように背後にストンと落とし、そのままKO。衝撃の33秒決着となった。
試合前の評判から好勝負を期待していたファンからは、「空手のエリートが負けた」「顔面ガードができてなかった」「顔面慣れしてないな」と一様に驚きの声。一方、龍のグローブタッチ拒否とも受け取れる先制パンチには「なんか嫌いだ」「慣れないうちに一気にきたな」「洗礼やな」といった声が見られた。
ただ解説席に座ったKrushプロデューサー・宮田充は「試合が始まったらグローブタッチで始める人もいますが、それはマストではない」と、ルール上は問題がないことを指摘。解説の卜部弘嵩も「(町分選手は)これはなんだか判らないでしょうね…緊張もしてたでしょうし」とし、「飲まれましたね…プロの空気感に飲まれた」とその心境を代弁した。
宮田は試合後「終わってすぐに言うのはなんですけど、町分君はもう一度試合を組みたい」とコメントし、卜部も「これだけ実績あるのに勿体ない」と敗者にエールを送った。ネット上でも、「バキ的世界観だ」「気を抜きすぎた」と辛辣な言葉や「ここから這い上がって欲しい」「空手のベースがあるから次に期待」といった応援の声が見られた。
勝った龍はマイクを握り、「最近Krush、とくにスーパー・ライト級、まじめちゃん、いい子ちゃんばっかりでおもろないから、俺みたいなやつ一人ぐらいおった方がいいでしょ。WORLD TREE(自身のジム)ほんまヤバいから。セミはうちの兄貴がかましてくれるので」と豪語。最後までオラつきを貫いた姿勢に、宮田プロデューサーも「品がなくて素晴らしい」と苦笑いを浮かべつつ、圧倒的な結果には納得せざるを得ない様子だった。
この記事の画像一覧

