2023年4月以来のKrush参戦となる紗依茄は、10戦以上のキャリアを持つテクニシャンで、Krush女子黎明期から強豪と渡り合ってきた。一方の末松は、デビューから無敗で第3代K-1 WORLD GP女子アトム級王座決定トーナメントに出場。決勝進出を果たしたが、松谷綺に敗れて初黒星。今回はそのリベンジへ向けた復帰戦となった。
20歳の紗依茄と19歳の末松による対戦は、女子軽量級でも屈指のアグレッシブな攻防となった。序盤から末松が猛烈な前進で主導権を握り、紗依茄もロープを背にしながら前蹴りやローを散らして反撃。至近距離での打ち合いが続き、ABEMAの解説・卜部弘嵩も「こんなに打ってるのに被弾がない。ヘッドスリップなど細かい技術やブロックなど細かいところも丁寧」と、両選手のテクニカルな攻防を高く評価した。
2ラウンド、末松がプレッシャーをかけ続ける中、紗依茄が打ち終わりに返す展開が続く。1分経過の場面で末松が右を顎にヒットさせ、コーナーに追い込むと紗依茄は膝を出すが、末松はカーフキックとパンチで顔面とボディを打ち分ける。さらに顔面への連打、ボディ、ハイで詰めて、コーナーで右ストレートを叩き込み最初のダウンを奪った。この際、ストンと紗依茄が沈んだことでいずれも空を切ったものの、末松は左右の強烈なフックで追撃を放っていた。
女子軽量級ではなかなか見られない豪快なダウンシーンに、ファンからは「こいつやばい」「強すぎる」「かわいい、強い、上手い最高」と興奮気味のコメントが並んだ。ディフェンスしながら反撃を続けていた紗依茄だったが、末松の猛攻に緊張の糸が切れたように次々と被弾。何とかラウンドを凌いだものの、末松が試合の主導権を完全に掌握した格好だ。
最終3ラウンド、紗依茄もハイや前蹴りといった鋭い攻撃で応戦し、気持ちの強さを見せるが、末松はフック、ロー、ミドルを織り交ぜた落ち着いた遠距離の攻撃から、再びボディ連打でダメージを蓄積。紗依茄はガックリと腰を落とす。それでも蹴りで反撃し、鼻から出血しながらも意地を見せたが、末松がボディから顔面への追撃で圧倒。レフェリーが続行不可能と判断し、試合は末松のTKO勝利となった。
女子最軽量級であるアトム級(47.6kg以下)では異例の破壊力を見せた末松に、「攻撃力凄い」「女子でボディを利かすのは凄い」「強すぎる」と驚きの声が続出。一方、連続ダウンに沈んだ紗依茄に対しても「強い。相手も弱くなかった」と健闘を讃える声も聞かれた。
圧巻の勝利後、マイクを手にした末松は、感極まった様子で「追い込みも減量も本当にしんどかったですけど…」と言葉を詰まらせながら、応援してくれた人たちへの感謝を口にした。さらに「今年中にもう一回、松谷選手にリベンジをして必ずK-1チャンピオンになります」と力強く宣言。真っ直ぐな言葉とは裏腹に、柔らかくおっとりとした口調に、ファンからは「声がかわいい」「声が優しい」「次は勝てそう」といった応援の声が相次いだ。
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