「私たちは捨てられた日本人」「棄民だ」

モリネ姉妹 日本国籍回復までの道のり
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 80年の時を経ての国籍回復。松本ディレクターによると、2つの理由があってモリネさんのようなケースは稀だという。

「一つは、戦火でほとんどの証拠が焼失してしまっている点だ。役場に残されている出生記録などが見つかることのほうがレアなのだ。そしてもう一つは高齢化。当時の証言をできる人物もほとんどいなくなっている。証拠も証言もない。こうしたケースも多々あり、国籍回復は困難だ。中には20年以上調べても、いまだ新たな証拠が見つからず、無国籍状態となっている人がいるのも現実だ」

 だが、この夏に大きな動きがあるという。

 松本ディレクターは「フィリピンでは無国籍の残留2世のうち49人が国籍回復を希望している。この夏、集団で日本にやってきて、親族探しを行うという話が出ており、すでに父親に関する情報が集まっている人もいる。情報をSNSなどインターネット上に公開し、それを見た親族などからの新たな情報提供を求めたいと、支援団体の人は話している」と語った。

 当事者たちはどのような心境なのだろうか?

 松本ディレクターは「この取材をしていると『戦争が終わった』とは言えないと強く感じる。以前取材をした寺岡カルロスさんという方は『私たちは捨てられた日本人』『棄民だ』話し、一番胸に残っている」と話した。

 政府は動いているのだろうか?

 松本ディレクターは「今年4月には石破総理がフィリピン訪問の際に残留2世と面会し、日本国籍の回復を支援すると表明した。とはいえ、外務省も動いていると思うが現場レベルでの支援は十分ではないと感じている。私が伝えたいことは『本当に時間が残されていない』ということだ。戦後80年で気運が高まっているタイミングを逃すと問題解決が進まないのではないかという危機感を持っている。もっとスピード感を持って政府には動いてほしい」と話した。
ABEMAニュース解説

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