■「女性・女系も含めた選択肢を次世代に渡すべき」

山下晋司氏
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 宮内庁に23年間勤務した皇室解説者の山下晋司氏は、「皇位継承は先送りにしようとなっているが、一番大事な話を先送りにして、派生した話を議論しても結論は出ない」と考えている。「男系維持派は、将来の女系天皇の芽をどれだけ摘めるかを考えている。ただ、どちらかと言えば、悠仁親王殿下の時代になったときの選択肢として、女性・女系も含めた選択肢を次世代に渡すべきだ」。

 過去を振り返ると、推古天皇(33代)、元明天皇(43代)、明正天皇(109代)、後桜町天皇(117代)など8人・10代の女性天皇が存在した。いずれも父が皇族の「男系」女性天皇だ。

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 女性天皇容認も必要ではないかと指摘する宗教学者の島田裕已氏は、「伝統は時代によって変わる。男性に限定することで、厳しい状況が生まれたのは事実だ。明治政府は“家社会”を作ろうとして、国民の模範と位置づけの天皇も男性だと偏らせた。女系ではなく、女性天皇については、今の時代に反対する人はほとんどいない」と考えている。

 実際の皇族たちは、どう考えているのだろう。山下氏は「利害関係者である天皇家が意見を述べることは、憲法解釈上、非常に難しい」としつつ、「それが覆ったのが、上皇陛下の退位だ」と話す。「あれも政府は『上皇陛下から国会に対しての言葉』ではなく、『上皇陛下のお気持ちを国民が受け取り、国民が国会を動かした』との解釈にした。もしそれが可能なら、天皇家としての考えを出す必要があるのではないか。そうでないと話が片付かない」。

■皇族の存続はどうすべき?
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