■JA全中「『JAが意図的に価格を上げている』ことはまったくございません」

 10a当たり平年収量に対する良否を表す作況指数についても、ヤマモト氏は疑問を呈する。「作況指数の測り方が良くなくて、使う網目が細かすぎて、くず米までも全部通してしまっている。そこで勘違いされているのではないか」。

コメ農家は年々減少
拡大する

 高橋氏も「作況指数はあくまでも単位面積当たりの生産量で、今問題になっているのは流通出荷量。そこのギャップが大きすぎる。精米したら、胴割れしていたり、虫食いがあったり、高温気象で白く濁った白玉枚は規格外として、二等米に下ろされる。その中で流通量がものすごく減っていて、作況指数が101でも、実際に調べたら95程度だろう。異常気象やカメムシの大発生などで年々差が出てきているのに、昔から同じような統計の取り方で歪みが出てきているのが問題。その一番の影響を受けているのは現場にいる農家で、責任はない」と指摘した。

 ジャーナリストの堀潤氏は、「預けた米を高値で売りに出せるような交渉力を農協には求めたいが、“預かったものは多少安くても全部出す”ということだと困ってしまう」「透明性の高いマーケットを作るべきだというのが一案だが、構造的な欠陥や一部の情報によって取り付け騒ぎが起きるという話と、そもそも米が足りないという話は、国・政府の感覚と現場の感覚ではギャップがある。国と農協が一体化していて、外部のアクセスがすごく悪くなっているのではないか」と投げかける。

 高橋氏は「1つは農家にある程度の価格決定権を持ってもらう仕組み、いわゆる相対取引の推進であり、産直価格だ。農家も価格決定権に関与できるし、買う側も代表者が決定する。その上で、再生産できるかや、消費者が買い続けられるかという話になる。例えば生協の予約米は、田植えの前に手を挙げてもらえれば1年間安定して買えるというもので、関係はうまくいっているし、後継者も育っている。それをJAが妨害しているということもないので、誤解しないでほしい」と述べた。

 なお、番組取材に対してJA全中は、「JAグループは、現在の小売価格による消費者の米離れを非常に憂慮しており、『JAが意図的に価格を上げている』ことはまったくございません」「政府備蓄米の入札において、平均落札価格は、直近の相対取引価格を下回っているほか、必要経費以外は上乗せせず、卸売業者に販売しています」としている。(『ABEMA Prime』より)

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