■「中国が持ってる能力、日本の見方によって言い方が変わってきた」

増田雅之氏
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 防衛省防衛研究所・中国研究室長の増田雅之氏は、「1988年の中国軍の新聞に、『沖ノ鳥“島”は、あの岩自体に何の価値もないのに、なぜ日本はそこまでするのか。そこには資源などを確保する長期的な視野があって、素晴らしい』と書いてあった。中国は近くの南シナ海でも確保できないが、日本は遠い岩みたいなところでも、“島”として守っていると評価していた」と紹介する。

 当時は鄧小平政権だったが、「置かれた状況や中国が持ってる能力、日本の見方によって言い方が変わってきた」のだそうだ。

 Age Well Japan代表の赤木円香氏は、「中国は自国のメリットによって主張を変えてきた」と指摘する。「客観的に見れば、文脈は読み取れる。中国と向き合うと、オラつかれてしまうため、国際社会を巻き込みながら『日本の島だ』と、より主張する必要がある。インバウンドの流れに合わせて、ツアーを組めないのか」と提案する。

 海洋生態学者で京都府立大教授の石川智士氏は、沖ノ鳥島での海洋調査も経験。「東京から行くと1700キロか1800キロで、船で行って3日ぐらいかかる」と説明した。そして「ほぼ人間の影響が入っていないため、教育や調査拠点としては素晴らしい」と評している。「前回調査では、外洋の周りだけでも、46種ほどの魚がいた。環礁を探せば、より多様な生物がいる。絶海の孤島に、どうやって彼らがたどり着いたかを考えると、太平洋全体の海洋生態系を解明できるチャンスもある」とし、「日本はそれを埋めたりせずに、守りながら利用するスタンスだ。世界と一緒にやれる拠点としてはすごくいい」と語った。

■「中国は一枚岩の姿勢を見せないといけない」
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