黒澤氏は政府の動きをどう見る?
続いてきた家業を攻めの姿勢で守ってきた黒澤氏は、いまの政府の動きをどう見ているのだろうか。
「国が『多いから減反をしなさい』、少なくなったから『増産しなさい』、でも現場は無理だと思う。今までは農家が自分の農地を守ってきたから、コメを赤字でも出荷していた。赤字でも出荷してきた兼業農家の人たちが、団塊の世代を含めて、これから激減する。小さい(規模の)人たちも兼業農家として生き延びられる。そういう国の制度政策を早く出してもらわないと、国が勝手に増産しろと言っても、現場は増産できない状況になっている」
ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターで、慶應義塾大学教授、教育経済学者の中室牧子氏は、日本のコメが輸出で成功するためには様々な課題解決も必要と指摘する。
「輸出用に作ったコメを国内用に転換できない規制があるので、そこは改善する必要がある。需給調整をするのに備蓄米を使っているが長くは続かない。政府が持っている需給調整の手段が備蓄米だけというのは危険なこと。輸出を増やしていくことがすごく大事」
「増産も簡単にはできない」という現場の意見に、中室氏は次のように述べる。
「日本の地形の問題。棚田などが多いので簡単に大規模化できない。一方で、大規模化していくのは非常に重要。農水省が出している統計をみると、大規模化した事業者は後継者の不足に困っている比率が低い。小規模農家の場合は、団塊の世代であって後継者がいない人たちが非常に多い。大規模の方が、コストが低くて利益も大きいので若い人たちも参入してくる。持続的に儲かる形にして、若い人たちに参入、継承してもらい、持続可能にしていくことが王道だと思う」
(『ABEMAヒルズ』より)
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