■親にカミングアウトした当事者

平山裕三さん
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 中学3年生のときにゲイであることを自覚した平山裕三さんは、「家族に一生隠して生きていくのか」と悩んだという。「2、30年前の出来事で、今はLGBTの情報もアクセスしやすいが、その頃はなかなか…。カミングアウトしている当事者の方もいなかったので、迷いもあって女性とお付き合いさせていただいたこともあった」。

 そんな中、親にカミングアウトしたのは「大学3年生の就職活動で、企業の説明会に『服装が自由』と書いてあった。文面通りに受け取って、私服で行ったら、みんなスーツだった。家に帰って、そのことを話したら、母親に『なんであんたは昔から人と違うことをしようとすんの』って言われ、喧嘩になって、勢いで『僕はゲイだからだ』って答えた」と振り返る。

 母親のヨシコさんの当時の心境は、困惑し、整理がつかない状態。「どうして?」「育て方を間違えた?」「病気?治せるなら治したい」などと自分を責めるようになった。また、ヨシコさんから父親へ話すと、第一声は「気持ち悪い」と理解不能だった。

 父親の反応を知った平山さんは、「すごくショックを受けて、(父親と)2、3日話さないときがあった」。しかし、「父親が何か考えたのか。『今までわかってあげられなくてごめんね』って直接泣きながら謝ってくれて、そこから関係性がまた始まった」と明かす。

■息子がゲイであることを受け入れられない母
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