■介護業界のカスハラどう対策?

外岡潤氏
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 介護トラブルを多く担当する弁護士の外岡潤氏によると、カスハラする利用者は「福祉だから当然だ!という権利意識」「世話を受けている=お客様は神様の言うことを聞くべきという考えが強い」「リタイア後の承認欲求の矛先」。カスハラする家族は、「様子を見ることが出来ず被害妄想が強くなる」「自分たちの税金で働かせているという考え」だという。

 なぜ介護業界にカスハラが横行しているのか。外岡氏は「権利意識が高まってきていることで、介護保険料、利用料も上がってきて、『お客様だから当然だ』っていうこと。介護は善意で成り立っている。何かして差し上げると、それが次の瞬間当たり前になり、どんどんエスカレートしていく構造がある」と答える。

 しかし一方で、「実際にとんでもないカスハラの人は、私の感覚だと100人に1人か2人。大多数は感謝してくれるし、気を使う人が多い。利用者側から相談受けたときに言われるのが、施設に預けてると人質に取られてるみたいで、文句も言えない」。その上で、「一律にカスハラはダメだって強く言うと、ほとんどの人が萎縮しちゃうんじゃないか」との見方を示す。

 Age Well Japan代表の赤木円香氏は「事実を明確化、透明性を持つ意味では、入居者さんとご本人だけではなく、ご家族の方と日常的な報連相をすることで、トラブルがあったときに情報共有できるのではないか。例えば、入居者さんがすごい騒いでしまった場合、介護士さんではなく、娘さんや息子さんが言ったらちょっと話が変わってくる。うちの祖父も病院に入院してるが、看護師さんへの対応に、私が『ダメだよ、嫌われたらあかん』って言うと変わったりもする。ご家族とも関係構築することが、すごく重要なのではないか」とコメントした。

 認知症の方のカスハラ被害の対応についてはどうか。外岡氏は「暴力があると、職員を守らなきゃいけないので、例えば精神病院の方に移っていただく、お医者さんに相談することもある。ご家族の方が協力的でなければ、行政に協力してもらって移る」と説明。

 行政に協力してもらう上で、「今回、相談窓口を設けたのは大きい。相談に乗ることは、行政として他にもできることがあると思うので、どうしようもないときは、積極的な介入がこれからできるようになるんじゃないか」と期待した。

(『ABEMA Prime』より)

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