イギリスが合意した「10%」が限界ライン?

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 日本メーカーがアメリカ国内で生産した車を逆輸入するという選択肢もあるが実情は厳しいという。

「かつて実際に逆輸入は行われており、過去にこの提案もしているという。だが一部の車種を除けば、わざわざ部品などをアメリカに持っていって作ったものを日本に持って帰るのはコスト面を考えると少し現実的ではないという意見もある。とはいえ、日本に逆輸入するのではなく、アメリカで作ったものをアジアや第三国に輸出する台数を増やすことはあり得る。今、日本がアメリカに輸出している車は年間で137万台。すでに工場の移転などが進んでいて、アメリカ国内で日本のメーカーが生産しているのは327万台と輸出の2倍以上。メキシコやカナダにも工場を作ってそこからアメリカに輸出しているので、年間でアメリカでは580万台以上の日本車が売れている状況にある。現地生産すれば、もちろんアメリカの投資や雇用に貢献している。さらにアメリカ国内で生産した車を海外に年間約30万台輸出していて、これはアメリカの世界に対する貿易赤字の解消につながっている。こうした日本の自動車メーカーによる“貢献度”を指標にして日本への追加関税を割り引いてくれるよう提案している。ただ、この提案がアメリカ側にあまり響いていないそうで、現状もこの案が生きているのかはわからない」

 自動車関税はいつ頃、どのラインで合意するのだろうか?

 澤井記者は「すごく難しい。アメリカにとっての貿易黒字国であるイギリスに対する自動車関税は10%まで引き下げるということで、『10』という数字が限界かという見方が出てきている。この『10』というベースを作ってしまったイギリスに対して国際社会では少し批判的な声も出ている。日本も安易なところで合意してしまうとそれが新たなラインとなり、国際的なレピュテーションリスクにもなりうる。『全世界が25%加算されている中で、早めに自動車を15%くらいまで引き下げられたら日本は相対的に得なのでは』という見方もあるが、一方で『15%なんてけしからん数字を飲むべきじゃない』という見方もある。アメリカ市場で競合している韓国とどちらが先に合意するべきかも意見は分かれる。アメリカは相互関税の部分についてベッセント財務長官が期間の延長を示唆した。ただ、現在、自動車への追加関税についてはさらに引き上げようとちらつかせているくらいなのでアメリカ側はおそらく困っておらず、このままズルズルいってしまう可能性もあると思う。日本としては厳しい交渉だ」と述べた。
ABEMA倍速ニュース

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【映像】「気持ち悪い」 小学校隣接の公園で性的ビデオ撮影
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