■選択的夫婦別姓の導入で少子化が加速?出生数増?

 選択的夫婦別姓に反対派する旧皇族出身の作家・竹田恒泰氏が主張しているポイントの3つ目が、「選択的夫婦別姓の導入で少子化が加速する」という点。「結婚待機が58万人・29万組いるという話なので、選択的夫婦別姓を導入すればその人たちは結婚できるかもしれない。しかし一方で、結婚を諦めなくてはいけない人たちがそれ以上出るだろうと。結婚する上では、どこに住むか、子どもを望むか、姓をどうするか、仕事を続けるか辞めるか、親や兄弟のことなど、いろいろと合意する必要がある。『選択肢が増えるのはいいことだ』と言うが、これまで検討しなくてよかった“別姓か同姓か”という新しい選択肢ができることで、苦しむ人が出る。別姓でいいとなったとしても、次に出てくるのは、子どもの氏をどちらにするか。立民案だと結婚時に決めるので、それを決めないと婚姻届を書けない」と指摘する。

少子化加速のイメージ(竹田恒泰氏)
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 これに、賛成派で一般社団法人あすには代表理事の井田奈穂氏は、夫婦別姓が少子化対策だと語る。事実婚をしている532人への調査で、「改姓を望まず」が28.9%、「法制化されたら法律婚する」が49.1%(20代が6割超)だったという。また、過去の事実婚経験者538人への調査で、子どもを持つことに「躊躇」と答えたのは、20代が4割、30代が5割超いたことから、“別姓希望の待機組が結婚→出産→出生数増に”という流れを予想している。

「結婚していない婚外子で生まれる赤ちゃんは2.4%で、OECD各国の中でも一番低い。内閣府の調査で、20代〜30代の結婚適齢期の女性が結婚をためらっている、あるいは積極的にしたくないという理由の4分の1が、名字の問題だ」

 これに竹田氏は、「2023年の婚姻数は95万人・47.5万組で、約100万人とする。選択的夫婦別姓を推進してる連合の資料で、『夫婦別姓にしたい』という40代女性は16.0%、30代11.2%、20代9.6%とだんだん減っていくが、約1割と考える(※)。男女10人ずつの組み合わせを考えた時、“別姓がいい人”は男女それぞれ1人いるので、100通りのうち18通り、つまり18%、婚姻する100万人のうち18万人に当たる。先ほどの58万人は数年前からの累計だが、18万人が10年続けば180万人。もちろんそのすべてが婚姻不成立ではないが、少なくとも揉める可能性がある」と説明した。
※選択的夫婦別氏制度が導入された場合「夫婦別氏にしたい」と答えた割合は次のとおり。【男性】50代2.4%、40代3.2%、30代10.4%、20代10.4%、【女性】50代12.8%、40代16.0%、30代11.2%、20代9.6%。男性合計6.6%、女性合計12.4%(連合「夫婦別姓に関する調査2025」より)

■子どもの姓をめぐるトラブル懸念も?
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