■「現場で大声を出すかというと、そうではない」 専務取締役に聞く“管理者養成学校”の意義
「管理者養成学校」を運営する社員教育研究所 専務取締役の安田健氏は、「人間教育を原点に、小学生から経営者まで“人間力の強化”を徹底している」と話す。コンセプトとして「知行合一(ちこうごういつ)。知っていることを当たり前にできるようにする」「礼儀・あいさつの徹底。礼儀を知るだけでなく、相手に表現できることが重要だ」「汗と涙と一生懸命の精神。全力で取り組む姿は人の心を動かす」の3つを挙げる。
管理者養成の歴史として、「元々はテープ教材の販売からスタートしたが、1979年に代々木で研修を始めた。当初は半年間のコースだったが、忙しいビジネスマンは通うのが大変で、凝縮できないかと創業者が13日間に集約した。今年の8月で1100期を迎える」と紹介した。
“声出し”に重きを置いているように見えるが、そうではないという。「管理者が実際の現場で学校のような声を出すと、客はビックリしてしまう。ただ、管理者は“堂々たる声の大きさ”が重要だ。自信を持って、部下に仕事を与える必要を考えると、“弱い声”では不安になる」。
タレントの田村淳は「安田さんが言っていることに異論は1つもない」と理解を示しつつ、「新人研修ならスッと入ってくるけど、管理者養成でなくてはならないのか」と問う。
ギャンブル依存症問題を考える会代表の田中紀子氏は「新入社員の頃に“地獄の訓練”を受けさせられた世代で、それで(会社を)飛んだ人もいた。あの新人研修に意味があったのか、今役に立っているのかは、大人になった今も謎のままだ」とコメント。
「パックンマックン」のパックンは、「スキルが身に付くのはいいが、『声を出すから、良いマネジャーになる』とは限らない。どうアイデアを引き出し、社員とコミュニケーションを取り、会社にビジョンをもたらして上層部を動かすかなどは、13日間では身に付かない」「管理職にネガティブなイメージを持っている国民も多い。古き良き時代と今の社員のニーズも異なると思うが、悪印象を与えないような研修はできているのか」と指摘する。
これらに安田氏は「管理者は“モデルを示す存在”と定義している。アイデアを引き出し、部下の話を聞くのは重要だ。ただ、多くの管理者は、忙しさから部下の話を聞けず、アイデアを咀嚼する時間がない。研修を通して、自分を律して相手を思いやることで、いかに部下をアシストできるかを考える」と、その意義を説く。
また、“不易流行(ふえきりゅうこう)”の精神から、「時代が変わっても変えてはいけないもの、時代の変化に対応しなければいけないことの両方を捉えている。“時代錯誤”に一点集中するのではなく、現代の価値観も踏まえた上で指導している」という。「部下からすると、仕事ができるだけではダメ。若い世代は、管理者の姿勢や態度をすごく見ている。素直さや謙虚さ、そして見られている意識を持つことが重要だ」。
■管理職を“置かない”企業とは?
