“地獄の訓練”管理者養成学校はなぜ今も求められる?
【映像】「管理者養成学校」実際の研修の様子
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 富士山の麓にある山中で飛び交う、激しい怒号。ここは企業の管理職を育てることを目的とした「管理者養成学校」だ。この日は12泊13日の「管理者養成基礎コース」が行われ、10代から60代まで、女性3人を含む18人が参加していた。

【映像】「管理者養成学校」実際の研修の様子

 スマホやパソコンといった電子機器に、新聞・雑誌などは持ち込み不可。施設にはテレビやラジオもなく、社会から隔離された場所で約2週間、ただ訓練に没頭する。「同じ訓練を同じようにやっていると、人との違いが浮き彫りになり、足りないことに彼ら自身が気づく。自発的にやっていく環境を作っている」と、指導部の堀口素文部長は説明する。

 足を踏み入れた時点から、研修生には厳しいルールが定められている。靴をきちんとそろえ、部屋の出入りは「入ります」「失礼します」と宣言する。他にも「屋外は小走りで移動」「椅子は席を立つたびに入れる」などを守りつつ、5時30分の起床から、22時30分の就寝まで、「地獄の訓練」とも呼ばれるプログラムを受ける。

 訓練には、歌に感情を込め表現力を鍛える「歌唱訓練」や、与えられたテーマに沿って7分にまとめる「スピーチ訓練」などが用意されているが、いずれもまず求められるのは大きな声。声量が“気持ちのバロメーター”であり、真剣に取り組んでいる現れとの考えからだ。訓練服には、プログラムやタスクを表すリボンが付けられ、14個すべてが外されると研修終了となる。

 管理者養成学校は46年前、東京・代々木でスタートした。最盛期には、240人が入る研修施設が連日満員に。1回の研修費用は約40万円だが、のべ30万人を超える人がここから巣立っていった。

 40代男性の研修生は「部下に『大きな声を出せ』と言っているが、自分はできていない」と受講理由を語る。また、研修生の多くは、会社から行くよう促された管理職。30代男性の研修生は「自分はできるという慢心があったが、勉強不足な現実を突きつけられ、毎日弱い自分が出てきてつらい」と吐露する。

 令和の今では、“スパルタ”や“パワハラ”と言われかねない管理者養成学校が、なぜ今なお多くの人に求められているのか。また、管理職の必要性とは? 『ABEMA Prime』で学校関係者などを招き議論した。

■「現場で大声を出すかというと、そうではない」 専務取締役に聞く“管理者養成学校”の意義
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