■管理職を“置かない”企業とは?
一方で、ネット上では最近、「管理職になりたくない人たち」の話題が頻繁にのぼる。実際に希望者は年々減少していて、若手社員ほどその傾向は強いという。そんな中、管理職自体をなくした企業がある。広島に拠点を置き、全国に94店舗を展開する「メガネ21(トゥーワン)」だ。
1986年創業、従業員数は121人で、社是は「社員第一主義」。管理職はおらず、各店に責任者を1人ずつ置いている。業務提案から重要事項の決定まで、ウェブへの書き込みで課題を公開。過去には新規出店用の2億円の土地購入をウェブ上で決定(SNS組織)した。
「メガネ21」早稲田店責任者の田口健一郎氏は、「そもそもリストラされたメンバー4人で起業したため、『職場を追われた』という思いが強く、上下のない“さん付け”の関係を築いた」と説明する。「フラットな組織で、みんな平等だ。評価や給与、財務関係は全社に共有している。“社内預金”を預けて、利息ももらう。出資者であり、労働者でもあるため、管理職はいない」。
社内で問題が起きても、「全社で情報共有しているため、みんなが見られる」、トラブルの際は「『この人が嫌だ』という場合には、独自の“ギブアップ宣言”ができる」と明かす。
さらに、管理職を置かないメリットとして、「管理にはコストがかかる。無駄な会議をなくすことで、そのお金を社員に還元できる。メガネのフレームやレンズ代にも還元できるため、安くなるメリットが顧客にもある」「従業員はムリをせず、『これぐらいの貢献ができればいい』となる。業績を上げている人から、その稼ぎを分けてもらえるため、足を引っ張る必要もない」と述べた。
こうした取り組みに、安田氏は「この仕組みで企業が発展しているなら、経営哲学が成功している証であり、素晴らしいことだ。ただ、『管理職は不要か』と問うと、きっと企業は困るだろう。必要・不必要ではなく、管理者のあり方に向き合っている」とのスタンスを示す。
また、田口氏は「うちは無駄なことを極力排しているが、指針があったり、優秀な先輩がいたりすればいいとは思う。実際に取締役の先輩には、優秀な人たちがいるので、管理職は否定しない」との考えを述べた。(『ABEMA Prime』より)
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