GLORYとRISE、2つのプロモーションによる「LAST FEATHERWEIGHT STANDING TOURNAMENT」の一回戦。21歳でEnfusion王者も戴冠したブーラスと、スペインの左の技巧派クリートの対決。1ラウンド、ブーラスが持ち前のスピードと攻撃力で試合をリード。回転の速いパンチとキックのコンビネーションを見せると、クリートは堅いガードから重さのあるパンチや膝でカウンターを狙う対照的な立ち上がり。

 互いに手堅いファイトの両者だが、一つの動作で会場の空気を変える。1ラウンド中盤、ブーラスの猛攻からクリンチの場面。荒々しい組みで引き倒されたクリートは、あろうことか”ぴょん”とヘッドスプリング(跳ね起き)で立ち上がるパフォーマンスで会場をどっと沸かせた。

 実況席の解説・一馬は「そんな魅せ方…」と驚きを漏らし、実況の小出アキラ・アナウンサーも「まるでプロレスラーのようだ」と頷くと、再び一馬が「そこに力を使わなくても…(笑)」と反応。和やかな空気のなか、ゲスト解説の白鳥大珠が「海外に行くと色々な選手がいますからね」と予測不能な海外ファイターのパフォーマンスや強さに言及。ファンからも「客が沸いたぞ」「凄い」「なんて身軽なんだ…」「魅せるねw」と思わぬ盛り上がりを見せた。

 2ラウンドに入ると、前ラウンドのど派手パフォーマンスでファンの心を掴んだクリートが徐々にリズムを掴む。サウスポーの利点を活かし、ブーラスの攻撃に的確なカウンターを当て、膝蹴りで距離を制圧。ブーラスも相手のハイプレッシャーに技術で対抗するが、序盤の勢いを維持できず後退する場面が増えた。

 3ラウンドに入るとクリートがさらに優勢に立ち、大きなフレームを活かしてブーラスを圧倒。細かいパンチとキックの連打でポイントを重ねる。終盤、クリートが膝を叩き込みブーラスをダウン寸前まで追い込む場面もあり、試合を完全に支配。ブーラスも最後まで反撃を試みたが、クリートの戦術を崩せないまま試合終了のゴングとなった。

 判定結果は3-0でクリートを支持。勝利のマイクでは開口一番「コンニチハ〜ヨコハマ」と土地勘もバッチリ。試合前は「未知の選手」だったクリートだが、序盤のエンタメ精神と質実剛健な試合運びで、次戦に向けしっかり爪痕を残した。

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