内閣人事局は6月24日、中央省庁および地方勤務の6万人以上の国家公務員が回答したアンケート結果を公表した。継続して勤務したいと答えたのは48.2%だった。一方で「継続したいが不安がある」が29.3%、「数年以内に辞めたい」は9.5%という結果となった。
その中で、特に深刻化しているのが若手キャリア官僚の離職である。
国家公務員の志望者減少や離職増加への対策を検討してきた人事行政諮問会議の資料によれば、採用10年未満の退職者数は過去最多となっている。
若手職員への勤務継続意向に関する調査では、30歳未満の男性職員の14.7%が「3年程度のうち・1年以内に辞めたい」もしくは「すでに辞める準備中」と回答した。これは、実に7人に1人が離職を考えていることになる。
背景には給与水準や長時間労働への不満がある。「人手不足のため、手元の仕事で精一杯になっており、自分たちの仕事が何につながっているのか、ミッションやビジョンといった大きな絵が見えない」「社会から批判対象となることもある一方で、大変な仕事のわりに給与が低いなど哀れまれることもある。いずれもモチベーションの低下につながる」といった声も上がっている。
さらに「トップダウンや政治との関係等で納得できない決定や理不尽なことにさらされたときに大きくモチベーションが下がった」という意見も見られる。学生の志望者減少に加え、若手職員の早期離職が続き、国家公務員の人材確保は危機的な状況に陥っている。
このような事態の背景を、みずほリサーチ&テクノロジーズ主席エコノミストの河田皓史氏は以下のように分析する。
「根本的に労働環境が良くない、激務薄給であることが一つだが、長期的な10年、20年の変化でいうと、やりがいが落ちてきているのではないかと思う」(みずほリサーチ&テクノロジーズ主席エコノミストの河田皓史氏、以下同)
「こちらも長期的な傾向として、政治主導が強まってきている。民主主義という意味ではいいことだと思う一方で、政治主導でなかった時代は、官僚の人が政策形成のイニシアチブをかなり持っていたことが、『自分たちが国を動かしている』という誇りや、高揚感につながっていて、激務なども我慢できる部分があったのだと思う」
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