■6児の母・橋本琴絵氏「適切な時期を逃した自己責任では?」

 一方で、6児の母で作家の橋本琴絵氏は、「適切な時期を逃した自己責任では?」と考えている。「若いうち(20代)に治療を必要とする人は理解できる」としつつも、「妊娠しやすい適切な時期に仕事・やりたい事を優先し、その後に不妊治療を選ぶ事には疑問」と主張。20代で妊娠・出産を最優先している人もいるとして、適切な時期を「自身の選択」で逃した人に、不妊治療の費用を税金で負担すべきではないとの考えを示す。

 ただ、不妊治療自体を否定する意図はなく、「自分がやりたいことができる世の中になっている。不妊治療したい人はしたらいいし、しないで頑張りたい人は、そうすればいい。不妊治療している人に対して、何か言うことはあり得ない」とした。

橋本琴絵氏(左)、池澤あやか(右)
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 タレントでソフトウェアエンジニアの池澤あやかは、この意見に「妊娠のしやすさは、年齢で区切られるものではない。若くても妊娠しづらい人がいるし、40歳で妊娠しやすい人もいる。43歳の保険適用リミットは、本人のためにもあったほうがいいかもしれないが、それ以前はサポートすれば、子どもを授かれる可能性も比較的高いのではないか」と返す。

 妊娠と年齢の関係を示す、米産婦人科学会(ACOG)調べのデータがある。ここでは女性の受胎能力は、10代後半~20代後半がピークだとして、30歳未満の場合、妊活1年で妊娠率85%、30歳で75%、35歳で66%、40歳で44%としている。

 不妊治療の経済的負担の軽減を図る国の特定治療支援事業では、「妊娠の見込みがない」「極めて少ない」と医師に診断された夫婦に対し、体外受精及び顕微授精にかかる費用の一部を助成。対象は治療の初日における妻の年齢が43歳未満である夫婦で、40歳未満は通算6回、43歳未満は3回となっている。

 池澤は「6回まで補助が効き、それ以上は自費になる。6回分の費用で日本の子どもが増えるのであれば、いいのではないか」と訴える。

 橋本氏は「もっと若い時に妊娠したい人のため、例えば大学に託児所を作るなどの政策をしたほうがいい。若い人が子育てしやすい環境づくりに、税金は投入すべきだ」と、あくまでも税金面の観点から語った。

 野曽原氏によると、支援事業の「6回」という上限もプレッシャーになっているという。「助成開始から3年が経ち、『あと◯回しかない』といった相談が増えている。プレッシャーが結果にも影響するため、枠を広げてほしい。年齢の適用範囲にも議論があり、当事者でも見解は統一できていないが、若い人々のプレッシャーになっていることは国にも考えてほしい」。

 そして、「どんなに高度な治療を受けても、残念ながら“年齢の壁”はある。それを知った上で、自分自身で選べることが一番大事だ」との考えを述べた。(『ABEMA Prime』より)

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