両選手にとって新たな道を切り開く重要な試合だ。K-1ミドル級タイトルを長年提唱してきた神保だが、初代トーナメント一回戦で敗退し、タイトル戦線から後退。自身は素手で殴り合うベアナックル戦に活路を見出すも、Krushから提案されたのはOFG戦。「ゴム有りかよ」と際どいワードを持ち出すが、新たな挑戦にまんざらでもない。一方、夜叉猿は5月の戦熊へのKO勝利で反乱軍“リベリオン”入りをレオナ・ペタスに直訴するも、仮入団という微妙なポジションからの昇格を目指す。
試合は1ラウンドから技術で上回る神保が主導権を握る。ゆったりとしたフォームから的確なパンチとローキックで夜叉猿に終始プレッシャーをかける展開。夜叉猿も果敢に応戦するが、“輩キャラ”とは正反対の緻密に上下を打ち分ける神保のペースは崩れない。
2ラウンドも神保が攻勢を強める。確実に夜叉猿の顔面にパンチを叩き込みグラつかせるも、ダウンとまではいかない。防戦カウンター狙いの夜叉猿も徐々にペースに適応し、下がりながら打ち返すシーンが目立ち始める。
最終3ラウンド、こう着状態のなか残り1分。夜叉猿が回し蹴りで口火を切ると、リング中央で打ち合い、連打で一気呵成に攻め込む相手に、神保が左フックを冷静に叩き込むと、夜叉猿は頭がぶっ飛ぶような衝撃から大の字でマットに沈んだ。
最後の打ち合いで左目尻をカットした神保は血がしたたるなかガッツポーズ。ファンも「これが見たかった」「最初からやれよ」「待たせるなよ神保」など“スカ勝ち”に大興奮。一方で残り時間わずか、玉砕覚悟で打ち合いに挑んだ夜叉猿にも「ナイスだった」「夜叉猿が行ったおかげでのKO決着」「覚悟を決めたおかげだ」とその勇気を称える声も多く聞かれた。
しかし、そんな快勝ムードに水を差す事態が起こった。試合後のマイクパフォーマンスで、神保は「俺、グローブじゃ興奮しなくなっちゃって、今回薄めなんですけど、ベアナックル(素手)でやりたいので“ゴムなし”でお願いします」と再び下ネタを交えてベアナックルをアピール。ただ、神保の後ろにズラリ勢ぞろいとなった8人のKrushガールズは引き気味の笑顔に…。同情するファンから「ラウンドガール失笑」「マイクしょっぺーな」「滑ったな」と大ブーイングが巻き起こり、一方では「笑ってあげて」といったフォローの声も。
神保の発言を受け、Krushの宮田充プロデューサーはツボにハマった様子。その後、冷静に「オープンフィンガーが“ゴム有り”とするならば、彼はその…ナマというのを望んでいると。なんかやらせてあげたいですよね。アイツも結果出したんで。今日は『剥けなかったな』と言おうと思ったらしっかり『ズル剥け』でした。よかったと思います…と下ネタで返すと(笑)」と応じた。さらに宮田氏は「(神保は)さん付けしてくれるし礼儀正しい」とヤンキーキャラへの営業妨害気味のフォローで場を収めていた。
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