中林教授「事前に最大限の注意を払うことが正しい」
実際に存在しているかどうかもわからないとされるスリーパーセル。ただ、中林教授は一方で、それでも対策に万全を期すことが正しいと話す。
「すでに地方政府や警察などは何らかのテロ活動が起こる可能性に備えて、警告を発したり、警察の活動をある程度活発にしたりといった動きに出ている地域がかなりアメリカでも出てきている。長い歴史の中で様々な紛争や対立を繰り返してきた地域の人々、またそういう人たちを移民で多く受け入れているアメリカなどにとっては、全くの絵空事とも言い切れない側面がある。事件が起こってからでは遅いので、事前に最大限の注意を払うことは正しい警戒といえる」
アメリカでスリーパーセルの脅威が報道されていることについて、ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターでノンフィクションライターの石戸諭氏は、このように述べる。
「具体的にこの時期、あるいはこういう動きをキャッチしているなど、その情報を得ているようなことは何一つ言っていない。ただ、イランとイスラエルの戦争はアメリカの仲介、爆撃から停戦交渉が終わったばかりなので、こういう時期にテロの可能性が高まることは、一般論としてはあり得る話」
「本当に問題になってくるのは、具体的な情報をアメリカがキャッチできているか、あるいはキャッチしたときにどう動くのかというところ。最悪のケースは、事前に何もキャッチできない、いわゆるインテリジェンスが機能しないまま、アメリカの都市の中枢部でテロ行為が起きてしまうこと。これが一番恐れるべきシナリオだが、現実的にその可能性が高まっているかは一連の報道からはわからない」
さらに、中林教授の「スリーパーセルという言葉が出てくること自体、アメリカ一般にイランに対する不信感があると考えられる。アメリカの中にイランに対する不信感があるということの証拠だと思うが、それ以上のものではないようにも思える」という指摘に、石戸氏は次のように語った。
「非常に納得できる指摘。この言葉が出てくるということは、イランにもしかしたら何かやられるかもしれないという漠然とした恐怖がアメリカ国内にあるということ。アメリカが介入したことによってイラン側から何らかの反撃があるとすれば、それはテロという形であるかもしれないという不安は広がる。それ自体は極めて妥当なことだと思うが、結局のところ確たる情報はない。インターネット空間で根拠もなく広がっていく噂のような話に良くも悪くもメディアも乗っかりやすい状況にある。今の状況は不信感や不安、そういう感情が広がっていることの証左なのだろう」
(『ABEMAヒルズ』より)
この記事の画像一覧
