極端な左派に対する注目度?
従来の民主党への不満がトランプ大統領への支持へと変わり、一方で、極端な左派に対する注目度も高まったと中林教授は分析している。
「結局、選挙というのは経済であり、そして市長であろうが大統領であろうが、その人への評価は、有権者の一人一人の生活がどうなったかとで、多数を集められるかどうかが勝負になる。アメリカは、選挙・民主主義という制度を通して、いろいろな社会実験をする国。常に新しいものを求めるし、常にチャレンジというものを評価する。その結果、トランプ大統領が生まれているし、そしてニューヨーク市長(予備選)もそのような投票結果を受けた」
マムダニ氏は、公約に「公営スーパー設置」「公営バスの完全無料化」「企業やトップ1%の富裕層に対する増税」を掲げている。ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターでノンフィクションライターの石戸諭氏は「興味深い現象として丁寧に見るべきだ」と語る。
「もっと日本で注目した方がいいと思っている。大きな理由はトランプ氏に対してどういう動きをすれば対抗できるのかを、民主党は次の政権奪還に向けてものすごく考えている最中にあるからだ。トランプ氏のような極端な主張を繰り出す人物に対抗するには、リベラルもまた極端な主張をすべきという動きが台頭していると見ていい。民主党の中でも、極端な支持を唱える候補への支持が広がってトランプ氏に対抗するというのは、おそらくあまり望ましいシナリオとしては考えられてなかったと思う」
「これまでのアメリカリベラルとは違い、より極端に左派的傾向を強めた主張が多い。トランプ氏が極端だからそれに対峙するためには、民主党もより極端にならなければいけないという勢力が強まっているとすれば、これは興味深い現象として丁寧に見ていかなきゃいけないだろう」
マムダニ氏に対しては、トランプ大統領が「過激な左派はこれまでにもいたが、今回はちょっと行き過ぎだ」などと、早速攻撃を強めている。マムダニ氏が民主党のメインストリームになることはあるのか。石戸氏はこのような見解を示す。
「民主党の支持層の中でも、穏健な政策を望む人たちはいるというのは専門家も指摘してきた。彼らは場合によっては、共和党に入れてもいいと考える揺れ動く中道層だ。今、民主党は立て直しの時期だから、穏健な中間層によって立て直すのではなく、より極端な方向で立て直そうという一派が発言力を増そうという時期にあるのかもしれない」とした上で、アメリカの民主党全体に流れが広がっていくかどうかに注目するべきだと締めくくった。
「やはり尖った主張によって、この人が社会を劇的に変えてくれそうという期待感が原動力になっていると読む。バーニー・サンダースに若年層の支持が集まったことに注目されたが、彼はネクスト・バーニー・サンダース候補の一人だろう。この流れが、ニューヨークのみの現象で終わるのか、アメリカのリベラル全体を変える方向になるのか、もう少し時間をかけてみないとわからない」
(『ABEMAヒルズ』より)
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