■國武氏が提案する「逆境指数」 理系学部に女性を増やすには?

 國武氏が対案とするのが「逆境指数」だ。親の学歴、世帯収入、家庭の資産といった「家庭環境」や、地域の貧困率や犯罪率、出身高校の状況などによる「出身地域の環境」を元にするこの指標を用い、多角的な不利を評価すべきだとする。

「女子枠」反対の理由(國武悠人氏、右列下段)
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 その有用性については、「アメリカでは『人種を考慮要素にしてはいけない』という判例が出ている。貧しさや、地域の大学進学率、犯罪率などを“逆境”として指標化し、『裕福な家庭に育った女性』よりも『貧しい男性』の加点幅が大きくなるべきだという話は、欧米では以前から行われている。お金がなくて高校卒業後すぐ働かなくてはならない人を“逆境指数10点”とすれば、女性であること自体は0〜3点にとどまるだろう」と、具体例とともに説明した。

 一方、坂田氏は「『日本の理系はレベルが低い』と言うが、女子枠によって本当に低い人が入ってくるのか。優秀な生徒は『大学の勉強を先取りしたい』と言うが、そういう子が推薦で早々に決めることもある。優秀な子が推薦の女子枠を使えば、一般入試のライバルが1人減ることになり、必ずしも男性が不利になるとは言い切れない。導入してどうなるか確かめるのはアリではないか」と、女子枠への賛成意見を改めて述べる。

 高橋氏は「一番大事なのは、早期からジェンダーレス教育をちゃんと行うことだ」と投げかけた。「北欧は理系の女性比率が40〜50%と高い。早期から介入することで、女性枠を設けずとも高まるからだ。東北大でも、周辺地域の高校生に“出張講義”をしている。そうして機運を高めることが、根本的な解決策につながる」。(『ABEMA Prime』より)

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