有権者は結果が予測できている選挙に足が向かない?

政治学者の吉田徹教授
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 吉田教授によると、投票率に影響するのは日程や天気よりも、争点だという。有権者は一般的に自分の一票が軽くなるのを嫌う傾向があり、結果が予測できている選挙では、投票に足が向かないという。

 与野党が接戦になる構図や争点が明確な際に投票率が上がると吉田教授は話す。

「与野党接戦のような構図になると、自分の1票の重みは必然的に高くなるので、選挙に参加したい、この候補者を勝たせたいという思いから足を運ぶという構造的なもののほうが大事。(今回の投票率は)6割から5割くらいの中で60%超えは難しいかもしれないが、過去数回の選挙よりは高めに出ると思っている」

 注目が集まる今回の選挙戦。投票率をめぐっては政治不信も無視できない要素だという。

「数カ月は別として、ずっと実質賃金がマイナスになっている状況なので、当然、そうした状況を挽回できない、改善できない与党に支持が集まるはずがないという状況の中で起こる。そういった政治不信を利用した形で新興勢力がどんどん出てきている状況。生活が苦しくなると、国を強くすればいいという理屈になってくる。それによってゼノフォビア(外国人嫌悪)的なものが出てくるのが、全般的な先進国の共通した傾向」

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーター、日本大学危機管理学部教授で東科大特任教授の西田亮介氏は、今回の参院選は通常の参院選よりも投票率は高くなると予測する。

「参議院選挙全般的に、衆議院選挙と比べると投票率が低いことが知られている。それはやはり政権選択に普段は直結しないと考えられているから。しかし、今回の参議院選挙は、事実上の政権選択的な選挙と捉えられている。なので、通常の参議院選挙よりも投票率は高くなるのではないか」

 投票率が高くなったとき、どのような政党が有利になるのか。

「一般的に投票率が低いときは、組織が堅い政党が有利だとされている。労働組合や宗教、そういう組織と関係の強い政党が有利。ただし、今はかなり不安定だ。東京都議選、都知事選含めて、自公に対する厳しい風向きがあった。そのときに多くの人たちが選挙に行くと、これまでの都知事選、都議選と同じような傾向が強化されるのではないか」

(『ABEMAヒルズ』より)

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