低所得者層などには厳しい法案?
しかし、公的医療保険加入の厳格化や食費の支援制度の利用も厳格化していくほか、環境としては電気自動車の税額控除を9月末で停止するということで、低所得者層や環境対策には厳しいのではないかという声も出ている。
この件について前田氏は次のような見解を示す。
「トランプ氏はあくまで不正を正すという話をしているが、実際のところはかなり低所得者層には厳しい内容だと思う。低所得者向けの医療保険、メディケイドと言われるものをかなり絞って、無保険者が今後1000万人単位で増えるのではないかといった試算があったり、あるいは法案全体でみると、所得の低い人たちはネットでマイナスという試算が出ている。例えば、所得が下位20%の人は年間大体10万円ぐらい所得が減る。一方で、富裕層には手厚い減税なので上位10%になると、100万円を超える単位でメリットがあるのではないかということで、低所得者層に厳しい部分は強い」
第1次政権で導入の所得税の減税を恒久化や、相続税などの基礎控除を拡充など、企業や裕福層により恩恵があるとも言われているが、国の負担は増えていくのか。
「既存の減税を延長するという意味がある。トランプ氏が一次政権のときの2017年に今の減税を導入した。そのときにも減税を導入してお金持ちに恩恵が及びやすいという批判があった。それをほぼそのまま延長しているような感じになるので、財政負担は出てこざるを得ない」
こうした減税への取り組みが仮にうまくいったとしても、関税のマイナス効果が上回ってしまうのかどうか…。
「時系列で考えたときに、関税の影響は夏場か今年の年末に本格化する。減税のプラスはおそらく、来年以降に実感する部分があるので、目先すぐ減税が関税の悪影響を打ち消すという話ではない。トータルで今の関税を続けるのであれば、減税のプラスとほぼ相殺されるので、減税で家計が潤うという実感は出にくい」
前田氏は関税について、さらにこう付け加える。
「今回の減税法案に関税の話は全く入っていない。なぜ入っていないかというと、例えば法案に関税率10%と記載してしまうと、覆すためにまた法案を通さないといけない。つまり、トランプ氏が関税率を自由に操作できるようにするために法案には盛り込まれないだろうというのが当初から専門家の間では言われており、実際そうなった」
(『ABEMAヒルズ』より)
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