情報が溢れる中、政党、メディア、そして有権者はどうする?

政党、メディア、そして有権者はどうする?
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 いろいろな情報が溢れる中で、政党、メディア、そして有権者はどうしたらいいのか。政党について伊藤氏はこのように述べる。

「ネットがなかった時代、看板やポスター、政見放送、演説、あるいは新聞を読むなど、情報の立体化があった。でも今の情報環境だと、ショート動画だけで動いてしまうことにもなりかねない。そう考えたときに、どうやって人々にその立体的な情報の摂取をしてもらうか。ショート動画の背後にロング動画があって、ロング動画の背後にウェブサイト・印刷物があって、そういう形で背景に目をつけてもらうような配慮をしていくべきだと思う」

 メディアの役割については次のように述べる。

「メディアはファクトチェックを一生懸命やっているが、真実か虚偽かという問題じゃなくて、人々は感情で動かされる。感情を考えていくことも必要だと思う。事実だから、虚偽だからということで、虚偽は信じるなと言っても、人々はもう気持ちで動いているから、逆にその気持ちを動かすような報道もあってもいい。例えば、外国人排斥の言説によって苦しめられている人たちがいる。そういうデマを聞いて、その人たちがどんな思いをしているか、その人たちはどんな暮らしをしているのか。そういう感情に訴える報道があってもいい。選挙のときになると、メディアはどうしても公平で理性的な報道を心がけるが、そうじゃないもっと感情的なものがあってもいい」

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』のコメンテーターでノンフィクションライターの石戸諭氏はこのように述べる。

「ファクトチェックは大事な取り組みであるとは思うが。期待や幻想は大きい。取り組んでいる人たちは、ファクトチェックで全てが解決するとは思わないと語っているが、では他にどんな取り組みが必要かという視点は薄い。選挙と争点は多種多様で、選挙期間中ももっとおもしろく政治を伝える、あるいは人がなぜ投票に行くのかという点をもう少し深く掘る記事があってもいいのかなと思う」

 最後に、有権者について伊藤氏は「一歩引いて物事を見てみる心づもりを持つべき」と話す。

「理性と感情的な動画に動かされないというのはあるが、感情が必ずしも悪いことではないし、感情と理性は切り分けられない。あくまでも理性的に判断してというのは、無理だと思う。そういう意味で言うと、感情的に判断してもいいが、立体的な情報の判断、この判断の配合にどういう効果があって、あるいはこういう政策の配合にどんな背景があるのかにできるだけ目を向けていく。一歩引いて物事を見てみる心づもりを持つべきだ」

(『ABEMAヒルズ』より)

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