専門家「バカバカしい話」…どうなる“トランプ関税”

“トランプ関税”どうなる
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 今回のベッセント長官“初来日”のきっかけとなった「万博」。そもそも、各国が集まる万博は重要な外交の場でもある。中国との間では、20年以上も止まっていた懸案が、大きく進展した。

 大阪・関西万博で11日に開催された、中国のナショナルデー。経済政策を担当する何立峰副首相は、この中国ナショナルデーに合わせて来日した。イベント前に行われた会談では、一つの成果と呼べるものが出てきた。

「長年の懸案であった牛肉の輸出の問題について、1つの前進を見ることができた。24年ぶりに、中国への牛肉の輸出が始まることにつながっていく」(自民党・森山裕幹事長)

 政府はこの日、中国が2001年から停止している日本産牛肉の輸入の再開に向け、関連協定を発効したと発表。実現すれば24年ぶりとなる貿易再開の背景について、前嶋教授は次のように説明する。

「G7やG20、さまざまな機会は外交のチャンスになる。今回の場合は中国にとって大チャンス。アメリカと日本の関税をめぐり、揉めていくかもしれない。ならば日本と関係を作っていこうと、中国側が考えたと思う」(上智大学・前嶋和弘教授、以下同)

 中国に続いて、万博では19日にアメリカのナショナルデーが開催され、日米の関税協議を担当するベッセント財務長官が出席する予定である。交渉役の赤沢大臣は、ここでの閣僚級の関税協議については明言を避けている。

 ベッセント長官の向こう側にいるトランプ大統領を意識しながらメッセージを送る必要があると、前嶋教授は話す。

「そもそも相互関税はハッタリのようないい加減な数字。バカバカしくて交渉できないのは普通なので、他の国は交渉してこなかった。日本は粘り強くやってきた。最終的にはトランプ氏を喜ばせないといけないというバカバカしい話である」

 また、神庭氏は「石破総理の『なめられてたまるか』という発言には日本国民として共感できる部分もあるが、アメリカから見るとなめられても仕方がない理由が2つある」と述べ、以下のように指摘する。

「1つは、これまで積み重ねてきた外交姿勢。アメリカから無理難題を突きつけられても、全部従ってきた。日米地位協定はずっと変わらないままで、多額の思いやり予算も支払っている。日本は世界で一番、米国債を保有しているのに、関税問題の交渉カードにするそぶりも見せない。非常に情けない状況だ」

「もう1つ、石破総理は交渉相手として適切なのかと、トランプ氏に思われているのではないか。石破総理は、安倍元総理のような高い人気や支持があるわけではない。参院選後の政権枠組みも見通せず、足元を見られてしまっている面がある」

 さらに、神庭氏は「日本側としても、参院選前にコメの関税引き下げなどには言及しにくい。今のタイミングでの突っ込んだやりとりは難しいだろう。選挙結果を受けて、交渉がどう転がっていくかに注目したい」との考えを示した。(『ABEMAヒルズ』より)

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