■「親は“ジャッジメント”をせず、事実を伝えること」
父親が生理を教える課題として、栗原氏は「妻の月経痛について知らない人が多い」「大変さなどについて実感がない」「ナプキンの種類や対処法について知らない」「父親に話しにくいと感じる子どもも多い」ことを挙げ、「生理は女性特有だが、本来は社会全体で男女関係なく考えるべき問題」だと提言する。
今の親は「性教育の授業を男女別で受けていた世代」であることも背景にあると指摘。「そもそも『生理とは何か』を知らないと、怠けているように見えてしまう。まずは基礎知識を入れることが大事だ。そこから先は、親子関係で変わり、正解はない。娘が知ってほしいと思うところまで、父親が踏み込むのが大切ではないか」。
では、父から娘への性教育は、どうすればいいのか。タイミングについては「子どもが興味を持った時点」を勧める。内容は、プライベートゾーンは3歳頃から、9〜12歳頃で性交渉や妊娠、性被害のリスクを伝える。父親の場合、教えにくい場合はテキストや本を活用し、子どもが話しにくい場合は祖母や親せき、スクールカウンセラーなど、子どもと同性の相談相手を頼るのがいいという。
日本の現状は「性の話をするのが遅すぎる」として、「海外では4歳の絵本で『どうやって子どもができるか』の話が出てくる。『恥ずかしい』『親と話したくない』となる思春期より前から、少しずつレベルを上げつつ、同じ話を何度もするのが大事だ」とした。
また、話すときのスタンスとして「親は『良い・悪い』『恥ずかしい・格好悪い』をジャッジメントせず、ただ事実を淡々と伝えることが大事。入口はやはりプライベートゾーンを教えること。一緒に入浴して、『あなたの大事なところは、他の人が勝手に見たり触ったりしてはいけない』と、毎日言って聞かせる。それが性犯罪の予防や、『他人に不当に扱われてはいけない大切な存在だ』という自己肯定感につながる」とアドバイスする。
海外での性教育を見てみると、オランダでは4歳から「愛情と性」の基本概念を学び、11歳で避妊や性暴力についての教育を行うため、10代の望まない妊娠の発生率が低い。イギリスでは、9~11歳で性教育導入を推奨しているが、保護者による拒否は可能だ。
仙田さんは、「父子3人暮らしで、男性との距離が近いため、話しやすい環境に思える。思春期に差し掛かってから、なぜか3人の結束が強まった」と話すが、一方で「友達と遊びに出掛ける機会も減って、3人で話して反抗期もない」ことを心配している。「子育ては、1回で終わりではなく、段階を踏むものだ。交通ルールも『青信号とは』と、生活の中で何度も教えていく」。(『ABEMA Prime』より)
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