日本は“関税競争”に勝てるのか…?

関税競争 日本は勝てる?
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 今回の合意について野村総研 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏は、「単純に計算すると6兆円以上の(日本の)貿易黒字の削減になる。トランプ大統領にとっては日本に対する貿易赤字をなくすということが最終目的だが、そこまでの合意ではない」と語る。

 昨年は8.6兆円あった対米貿易黒字が6.2兆円減り、7割減少してしまう計算になるが、それでも今後のアメリカからの輸入状況によっては、トランプ大統領が今回の合意に満足しない可能性があると木内氏は指摘する。

「防衛装備品の輸入についても従来計画していたことだと政府は説明している。輸入も毎年する約束ではないため一瞬、輸入が増えてもまた元に戻ってしまう可能性がある。長い目で見ると、対米貿易黒字はおそらく半分も減らないのではないか」(野村総研 エグゼクティブ・エコノミストの木内登英氏)

 関税の合意前から決まっていた内容も含まれるとし、対米貿易黒字の減少は半分程度に留まるのではないかという。

 ベッセント財務長官は23日、FOXニュースの番組に出演し、「今後日本が合意内容を守っているか四半期ごとに検証する」と述べ、検証の結果、トランプ大統領が日本の対応に不満であれば「関税は自動車も含めて25%に戻る」としている。

 ニュース番組『ABEMAヒルズ』コメンテーターで、早稲田大学ビジネススクール教授の入山章栄氏は、トランプ大統領が日本に対し、今後も何らかのアクションや圧力を仕掛けてくる可能性はあるとみる。

「アメリカは貯蓄が低くて投資する国なので、構造的に赤字になるのはある意味当たり前。
しかもそれは別に決して悪いことじゃなくて、内需が旺盛ということ。ただ、トランプ大統領から見ると、まずそれを知らない可能性がある。2点目は、トランプ大統領は、日本や中国などからの輸入が増えアメリカの雇用が奪われるのはけしからん、雇用を取り戻すと主張して大統領になったので、貿易赤字をなんとしても減らすというポーズを取らないといけない」

 では日本の企業は、トランプ関税を切り抜け競争に勝ち残っていけるのだろうか。

「日本は各社とても努力しなければならないが、1ドル80円や100円、110円の時代を乗り越えてきたメーカーが多く非常に力があるため、改めてその力を発揮すると思う」

(『ABEMAヒルズ』より)

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