■物価高はこども食堂・フードバンクにも影響
例年以上に貧困家庭からの声が高まる理由は、物価高とコメ不足の影響が大きい。子どもの貧困を研究する沖縄大教授の山野良一氏は、まず消費者物価指数の上昇に着目する。2020年を100とした場合、2025年の消費者物価指数は111.7と物価は1割上昇した。「食料品だけだと、これが120以上になる。親御さんたちの名目賃金こそ少しずつ上がっているが、物価の中でも食料品の上がり方がひどい」。またコメ不足には「子どもたちはとにかく食べるし、食べることが仕事のようなところもある。また子どもたちの権利でもある。コメを十分に食べることで成長するのが仕事で権利なのに、それがだんだん保障できない社会に入ってきた」と危機感を募らせた。
子どもの食を救うものとしては「こども食堂」も知られるようになった。山野氏は「10年ぐらい前からでき始めて、今は1万ぐらいある」というが、どこも順調というわけにはいかない。「都内などにはすごく多いが、地方都市にはないという格差もある。またこども食堂にも食材が集まらなかったり運営資金の問題、スタッフ不足など問題もあり、まだまだ不十分だ」。
食に困る家庭のために、何らかの理由で活用されなかった食品を提供する「フードバンク」「フードパントリー」といった取り組みも、こども食堂と同じく10年ぐらい前から広まり始めた。ただし物価高騰の影響はここにも広がっている。「コロナのころはすごく集まっていたが、それが明けたころから(食品が)本当に集まらなくなった」。またヒオカ氏も「パントリーに配布の数時間前から親子が列を作っていたりする。さらに普段は必要としていなかった層まで、支援が必要になっていると聞く」と、現場での様子を伝えた。
この状況を打開するためにも、山野氏は東京都などが実施している給食無償化が全国に広がることを期待している。「給食は本当に栄養のバランスが取れている。多少、家の食事のバランスが悪くても、給食で取り戻すところがある。ただ今は給食も食費が高くなってきたことで(給食費を維持するために)質が悪くなってきている。これが給食無償化になれば、税金で質を保てる。さらには夏休みも出せるようになってほしい」と、社会保障として機能することに期待をかけていた。
(『ABEMA Prime』より)

