サイト運営者には法的責任なし?

サイト運営者には法的責任なし?
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 生成AIに関する問題に詳しい出井甫弁護士は以下のように語る。

「現状少なくとも日本においては、ディープフェイクを生成すること自体を規制する法律はない。ただ、ディープフェイクポルノを生成する方法によっては、今ある法律に反したり、権利侵害になったりする可能性はある。他人の肖像写真を加工してディープフェイクポルノを作る場合には、写真の著作権侵害や肖像権侵害、またそれが公開される場合には被写体の名誉毀損、わいせつ物陳列罪などの問題が起こりえる」(出井甫弁護士、以下同)

 ディープフェイクの生成自体を取り締まる法律はない中、サイト運営者の責任については、以下のように述べた。

「多様なサービス・用途として使えるもののうち、ある一つの目的が何かしらの被害をもたらしている場合、行為の主体が必ずサービスの運営者だと言いがたい部分がある。ユーザーが任意に画像を用いてディープフェイクポルノを加工している場合に、一般的には行為の主体はユーザーであると評価されると思われる。一方、サービスの運営者が『加工したらこういった画像ができる』とか、『未成年の画像を加工するとこんなものができる』など、違法を助長するような傾向が見受けられる場合には、サービスの運営者の方も責任を帯びてくる可能性は否定できない」

 SNSにいる代行と依頼者のように、作る個人と受け取る個人についてはどうなるのだろうか。

「対象の画像にもよると思うが、仮に被写体が未成年であれば児童ポルノ禁止法において、代行も受け取った側も罰則の対象になりえる。次に、未成年でない場合も同意を得ていない被写体の画像を使う場合には、著作権侵害になりえるし、著作者人格権、肖像権侵害なども伴いえる。また、受け取った側がネットに公開していることを知って代行するのであれば、『代行』は公開した結果生じた責任について“共犯”ということで責任を問われる可能性はあると思う」

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