■2020年代に“全国平均1500円”目標も…「中小企業を潰そうとしているのでは」
電線製造業ときのこ栽培のアグリカルチャーという2つの会社を経営する石川浩氏。前者は今年5月に賃上げしパート時給1150円、後者のパート時給は1078円できのこへの価格転嫁などでの賃上げを検討している。「農業分野はなかなか付加価値がつけづらく、価格が市場で決まるので、利益が非常に出しづらい」とした上で、「ここ数年の急激なアップによる経営へのダメージは非常に大きい。周りの同業者も相当厳しい状況が続いている」と語る。
石破政権は2020年代に全国平均「1500円」という目標を掲げているが、これを達成するには今後5年間、年7.3%のペースで上げる必要がある。石川氏は「正直、会社を潰そうとしているのではと。人口減で今の企業数を維持できないと思っている。『(最低賃金を)払えなければ退場を』と言った人もいるように、国もそういう考えがあるのではないか」と推測した。
日本商工会議所の3月発表によると、前述の政府目標について、地方・小規模企業の4社に1社が「対応不可能」と回答。2025年度に7.3%引き上げの場合、2割が「休廃業を検討」としている。
小規模企業経営支援協会代表理事の立石裕明氏は、「毎年7%の賃上げなんて、できるはずのない議論だ」としつつ、「日本は世界最大の中小企業・小規模事業者支援国家。それを踏まえた上で考えないと、“あれダメ・これダメ”だけを言ってはいけないと思う」との見方を示す。
実業家・タレント・インフルエンサーの宮崎麗果は、自身が経営する企業を引き合いにコメント。「20人以下の規模の会社を2社経営しているが、優秀な人材の取り合いになっている。うちはバイトに1700円ぐらい出していて、それぐらいの対価を出さないと良い人材は集まらない。最低賃金で2人雇うよりも、すごく優秀な人材を1人雇ったほうが、モチベーションは高いし、会社の利益も上がって雇用が増え、より社会に還元できると考えている」との考えを述べた。
■「中小企業庁で『淘汰されればいい』という言葉は聞いたことがない」
