トランプ大統領おなじみのスローガン「Make America Great Again」。この頭文字をとった「MAGA派」と呼ばれるのが、一部の熱狂的なトランプ支持者である。
共にディープ・ステート(=闇の政府)の打倒を目標にさまざまな陰謀論を生み出してきたが、ここにきて陰謀論の“ブーメラン”がトランプ大統領のもとへと戻ってくる事態となっている。
発端は2019年に死亡したエプスタイン氏をめぐる様々な憶測や陰謀論である。アメリカの富豪、ジェフリー・エプスタイン氏が少女への性的虐待、売春あっせんなどの罪で起訴され、その後、拘置所内で自殺。クリントン元大統領や著名人との交流があったため、MAGA派からは当時「口封じのために殺害された」などの陰謀論が広まり、「顧客リストには超大物の名前があるのでは」と支持者の間で期待が高まっていた。
7月上旬、司法省が口封じのために殺害されたとする陰謀論や顧客リストの存在を否定。
「デマだ。民主党に仕組まれた大きなデマだ。一部の愚かな共和党員と馬鹿な共和党員が、罠にはまった」(トランプ大統領、以下同)
自分の主張についてきた支持者を切り捨てる言動を始めたトランプ大統領。さらに、トランプ氏がエプスタイン氏の誕生日に書いたとする手紙の存在を、ウォール・ストリート・ジャーナルが報じたことで、熱心な支持者から反対派へと変わるいわゆる“反転アンチ”が急増している。
陰謀論を利用して支持を伸ばした大統領自身が、その陰謀論に追い込まれていくという皮肉な状況。アメリカの調査会社「ギャラップ」の世論調査では、トランプ大統領の支持率は37%で、いまだに共和党支持層からは高い支持率を得ているものの、第2次政権発足後、半年間で最低となっている。
トランプ大統領ピンチ?ポイントを解説
