■精度が高まったGPT-5

ChatGPT-5の特徴
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 GPT-5は、これまで課題とされてきた部分をクリアした。JAIST客員教授の今井翔太氏は「1つはウソをつかなくなったこと。ハルシネーションという現象がすごくあったが、それが少なくなったという報告が出ている。もう1つは研究者や開発者にとっては一番大きなもので、ソフトウェアの開発能力がとても上がった。今までのAIは『アプリを作ってください』とプロンプトを入れると作ってはくれたが、ボタンを押したらエラーが出るようなものがあったり、見栄えが悪かったりした。それができるようになったのはとても大きなこと」と評価する。この他にも、AIエージェントと呼ばれる機能も向上し、メール送信や資料作成といった長時間にわたる作業も得意になった。

 ところが、これまでのGPT-4oを使ってきたユーザーからすると「そっけなくなった」という声があがっている。今井氏は「これはわざとだ」とし、その理由としてはChatGPTがユーザーに寄り添い過ぎるようになったことにブレーキをかけたものだと説明する。

 「ChatGPTは事故を起こしている。今、X上では『#keep4o』というハッシュタグがすごく話題になっている。ChatGPTは使っているとたまに『どちらの選択肢がよかったですか』と聞いてきて、それを選ぶとChatGPTの学習に活かされていた。それを繰り返していた結果、昨年の冬ぐらいからすごく『寄り添い型』になった。顔文字も絵文字もたくさん使って『あなたの言っていることは正しいですよ』と言うようになった。犯罪のようなことでも『いけいけ』となってしまい、感情うるさい型の傾向が続いたので(OpenAIが)ロールバック(変更や更新を行う前の状態に戻すこと)した」と説明した。

 2ちゃんねる創設者のひろゆき氏は「騒いでいる人たちはメンヘラの人ばかりではないのか。まともな人も騒いでいるか」と質問したが、今井氏は属性について偏りはないと語る。「東大の鳥海教授によれば、当初は一部のメンタル的に問題を抱えている人じゃないかと思われていたが、調べてみると世界中のいろいろな人、いろいろな属性の人が思っていることだとわかった」。

■人に寄り添いすぎたGPT-4o
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