■告発するならどこに?

河崎環氏
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 コラムニストの河崎環氏は「ネット告発のエンタメ化は憂うべきだ。関係のない人々が、火にまきをくべて、大きく燃やしていく。集団で正義を行使するかのような形だが、司法の判断によらない。そうしたリンチが横行しているのはおかしい」と指摘する。

 告発するのなら、どこが良いのか。太田伸二弁護士によると、SNSでは「瞬時に社会的制裁を求められ、爽快感や華麗さも得られる」といった特徴があり、弁護士への依頼は「告発者のダメージ(名誉棄損リスクなど)や、その後の裁判までサポートしてもらえるが高コスト」だとする。そして週刊誌は、「一度、第三者の目で社会的に価値ある告発か評価してもらえるが、少し時間かかる」と説明する。

 SNSで内部告発する背景には、「うまく行っている事例が記憶にある」という。「SNS投稿の翌日に、マズい対応をした企業が謝罪するケースをよく見る。それだけ影響力が強く、すぐに解決してしまう。弁護士に依頼して、裁判を起こす場合には得られないスピード感だ。だから、そういう手段をとろうとする」。

 また、スピード感に加えて、影響力の大きさもあるという。「バズれば、たくさんの人が見て、告発対象を追い込んでいき、すぐに解決できるかもしれない。お金や人に頼らなくていい部分もある。人に頼ると、その相手に止められたり、内容を変えられたりする可能性があるが、思ったものをそのまま出せる点も大きい」。

■ネット告発のリスク
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