■10代の政治参加は進んだ?

18歳選挙権の課題は
拡大する

 10代の投票率は、2016年の参院選の40%台中盤(全体で50%台中盤)から、上下を繰り返して、2025年参院選では41.74%(全体58.51%)を記録した。いずれの国政選挙でも、全体から10数ポイント下回る水準だ。

 法政大学の小黒一正教授は、若者の意見を政治に反映させるための選挙制度を研究している。「投票率は流れで見ると横ばいだが、2025年の参院選は上がった。関心が高まれば投票する。政治家も大学訪問するなど、選挙権を持つ大学生の票を取り込むために、アクションを起こし始めている」。

 このところ、国民民主党は「年収の壁」対策を打ち出している。これについては「夫婦共働きで、片方が扶養に入ると“壁”が生じるが、夫婦の合計所得で見れば損得はない。ただ、学生は親の扶養でも、所得を調整しない。学生が増収すると、親の所得が減るため、そこには壁があった。こうした政治課題が、若者の意見から出たのは、大きな流れの変化だ」とした。

 イギリスでは、選挙権が与えられる年齢が、18歳から16歳に引き下げられることになった。「オーストリアやブラジル、アルゼンチンは、すでに16歳から選挙権がある。イギリスでは18歳から、日本の衆議院にあたる下院の議員になれる」。

 そして、「重要なのは、いかに政治に直接参加して、自分の意見が反映されるかだ。自分自身が立候補して、世の中を変える実体験ができることが一番。そう考えると、場合によっては14歳、15歳まで引き下げてもいい」と提案した。

■主権者教育の遅れに指摘も
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