■スマホ、害虫、草木まで 何でも弔う日本人
日本にある「弔い文化」について、鵜飼氏は「日本では古来から万物を弔うということで、伝統的に神道と仏教が融合してきた。『八百万の神』は神道的な世界観だが、ここに外来の仏教が入り、それと融合して仏教行事になったり神道行事として残ったり、かなり混在して今に引き継がれている」と、独特な歴史を歩んだところから説明する。
一般的に「供養」「弔う」と聞けば生き物を連想する人も多い中、様々なものが供養されている。たとえばモノであればスマホやPC、ロボットなどがあり、人が身につけたものなら入れ歯やメガネなどがある。また昆虫・害虫も対象になりゴキブリ、バッタ、シロアリなどは各地で「虫送り」という昆虫の葬式がある。さらに草木にも霊魂が宿るという理由から、各地には「草木供養塔」が建っている。
人が使ったものなどに思いが入るのはイメージしやすいところだが、なぜ害虫まで弔うのか。鵜飼氏は製薬会社を例に説明した。「アース製薬やフマキラーといった害虫駆除の製薬メーカーは、実験でゴキブリや蚊、ダニを研究所で飼って、かなり殺しているのでその供養をしている。ユーザーも商品を使って殺しているので、その供養もしている」。
■太陽、月は人の身代わり?
