■太陽、月は人の身代わり?

害虫の供養例
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 また北海道には「バッタ塚」というものがある。「明治時代、開拓使の時代に北海道でバッタの公害があった。バッタの大群との戦いがあったが、トノサマバッタは土の中に卵を産む。それを掘り返して焼いて塚にしたものがある。これをバッタ塚といい、鎮魂の意味が込められている」と、祟りを鎮める意味合いで行われたものだと述べた。

 情報キュレーターの佐々木俊尚氏も、祟りについて着目する。「日本の供養には、愛おしむだけではなく、祟りを沈めるという発想がかなりあった。『もうこれ以上、襲ってこないでください』というために供養すると考えると、ゴキブリ供養も『もうこれ以上、我が家に出ないでください』というのも全然アリだ。我々は自然を愛おしむ気持ちがあるが、時に牙を向いて台風や地震、火山の噴火などがある。これを鎮めたい気持ちもある」と加えた。

 人に降りかかる災難の身代わりになってもらうという意味での供養は太陽、月にも及んだ。鵜飼氏は「江戸時代、当時の人たちは日食を見て、自分たちの身代わりになって太陽が死んでくれると考えた。そこから日食供養という発想になった。また月も満月からどんどん新月へと欠けていくが、これも同じく自分たちの身代わりになっているとして供養した。中秋の名月の時、十五夜ですすきと団子を供えるが、これは月供養の名残だ」と紹介していた。
(『ABEMA Prime』より)
 

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