■日本が核を持ったら世界にも広がる?

各国の核弾頭保有数
拡大する

 一方で、リディラバ代表・安部敏樹氏は世界で唯一の被爆国である日本が、核武装をすることの意味合いは非常に大きいと語る。「日本が北朝鮮と同じように、自国を守らなきゃいけない状況になったら、核開発をすることが正解になる可能性もあるとは思う。ただし原発の最終処分場すら作れない国で、放射性物質の話を一足飛びに決めるのは歴史的な背景を見ても無理ではないか」と、国内での反発の大きさを想像する。

 さらに「日本が核を持つことは、世界的な核保有におけるエスカレーションの合図になる可能性が高い。これだけ『被爆国です』『核は持たないようにしましょう』と言っていた日本が『核を持ちます』と言うと、各国でも持ちましょうという話になるのではないか。日本が外交上も含めて考えるのであれば、日米同盟をしっかり引き寄せ続け、核は持たないが何かあった時にしっかり戦える状態を作った上で、あくまで核を廃絶させる方向のポジションでいる方がいいと思う」と述べた。

 佐藤氏は、アメリカの“核の傘”の信頼性について注目する。「今回のウクライナ戦争においてロシアが核兵器を使う可能性、もしくは核の使用を現実的に検討したと報道されて、それに対してアメリカが、やはり核の脅しによってロシアの核の使用を押しとどめたとも報道されている。その点においては核の傘が成り立った。核の傘はある程度、信用はしている」と評価する。
 ただし、広島県・湯崎英彦知事が6日に行われた平和記念式典の際に「核抑止はフィクション」といった趣旨の発言をしたが、これにも理解を示す。「フィクションであることは間違いない。そのフィクションが今、維持されていることが非常に重要で、フィクションをどれだけ維持していくかが我々にとって非常に重要な政策になることは間違いない」。また改めてウクライナを例に出し「日本は日米安保、核抑止のもとにあるが、アメリカの核抑止から離れて単独の国家になった時、まさにウクライナと同じ状況に陥る」とも述べていた。
(『ABEMA Prime』より)
 

この記事の画像一覧
この記事の写真をみる(4枚)