池内は昨年1月の王座決定トーナメントを制して戴冠し、ノンタイトル戦では2連勝。満を持して迎えた初防衛戦だ。一方のソフィアは新鋭で、4月にプロデビューしたばかり。2戦目でWAKO-PRO地中海女子フェザー級王座を獲得し、わずか3戦目でKrush王座挑戦のチャンスを手にした。
キャリアは浅いものの、端正なルックスと未知数の実力で注目を集めたソフィア。試合は1ラウンド序盤から激しい攻防となり、観客を驚かせた。池内がカーフキックやパンチで仕掛ければ、ソフィアも左右のフックとボディ打ちで迎撃する。
フィジカル面では池内に分があるが、ソフィアは前蹴りなどを効果的に織り交ぜてアグレッシブに攻め、主導権を握る。実況席のKrushプロデューサー宮田充も「荒っぽいな。力強いですね」とコメント。池内はガードを固めて前進を続けたが、ソフィアの鋭いパンチがたびたび顔面をとらえた。
そんな攻防の最中、思わぬトラブルが発生する。ソフィアが強振した際、リングコスチュームからパッドらしき白い物体がずり上がってしまうハプニングが。1ラウンド終了時のインターバルでセコンドに違和感を訴えたソフィアだったが、ここは微調整を経て試合は続行される。
その後2ラウンドも流れは変わらない。ソフィアがローやミドルを組み合わせて圧をかけ、池内はボディブローやカーフで応戦するも手数と命中精度ではソフィアが一歩上を行った。ソフィアが攻め立てる中、またしてもハプニング。ソフィアが少し視線を落として気にするような素振りを見せると、これに放送席の宮田プロデューサーが反応。「あ、ちょっと胸パッドがね…さっきセコンドも気にしていたんですけど…これパッドなのかな? コスチュームがねぇ。取れたりしないかな、大丈夫かな…」など心配するとファンからも「パッド落とさないで」「初めて見た」「プロテクター?」「気になって試合に集中できない」などの反響が相次いだ。
ただ、そんな状況にソフィア本人は動じることなく、攻撃を続行。やがて2ラウンド終了時のインターバルでパッドはセコンドに無事回収され、事なきを得た。
3ラウンドでは池内がようやく反撃を強め、前に出てロープ際に詰め、パンチとヒザで攻勢を仕掛ける。ソフィアも下がりながら打ち返すが、やや疲れが見え始めた。判定はジャッジ1名がソフィアを支持(30-28、29-29、29-29)するも1-0のドローとなり、勝負は延長戦へ。
延長ラウンドも一進一退の展開。ソフィアはパンチとローのコンビネーションに加えて的確なバックブローで攻撃の手を緩めない。池内も執念を見せてパンチを返す。最後まで手を止めない攻防の末、判定は三者とも10-9でソフィアを支持。3-0の判定勝利で池内は初防衛に失敗し、19歳の新王者が誕生した。
見事に勝利したソフィアはギリシャの国旗をマントのように羽織ると、腰にチャンピオンベルトを巻かれ、両拳を突き上げた。マイクを持ったソフィアは「皆さん、この場をお借りして、今回このようなチャンスをいただいてありがとうございます。感謝しています」と一言。さらに「この場に立つためにずっと自分と共にいてくれたコーチ、自分のコーチであり母のような存在であるコーチに感謝を述べたいと思います。そして、本当に皆さん、応援ありがとうございます。また必ず戻ってきます。応援よろしくお願いします」と述べ、今後の活躍とさらなる飛躍を力強く誓った。
思わぬハプニングにも動じずに終始攻め続け、憧れのK-1(Krush)のリングでベルトを巻いたソフィア。そんなソフィアの様子に「明るい未来しかない」「顔小さい」「スター性ある」「すっぴんでこれは相当美人」といった期待の声が寄せられていた。
また、宮田プロデューサーは自身のXを更新。「メインの女子フライ級タイトルマッチは、初防衛戦の王者 池内紀子を初来日の19歳 ソフィア・ツォラキドゥ(ギリシャ)が延長の末に撃破! 前回7月大会でミドル級王者に輝いたデング・シルバ(ブラジル)に続いて、2大会連続でKrushに外国人王者が誕生しました! なんなら母国で防衛戦を!」と興奮冷めやらぬ様子だった。
この記事の画像一覧

