■辞退者から多額の入学金を得る大学も
この入学金の二重払い問題は、実際にどのくらい学生の負担になっているのか。ある調査では、27%の受験生が実際に二重払いを経験したとされている。また、別の調査では「入学未定段階で入学金を支払う選択肢を外した」と答えた人が13.6%になった。受験したい大学が複数あったとしても、入学金を払ってその資格を維持する余裕がないために、そもそも受ける大学を絞らざるを得ないということだ。調査に関わった入学金調査プロジェクトのメンバー・五十嵐悠真氏は「現行の制度だと7人に1人は経済的な事情で入学金を(二重に)払えず諦めてしまう現実がある」と訴えた。
入学金は大学にとって、どれほどの収入になっているか。五十嵐氏は「だいたいどの大学も、入学金が(収入全体の)2%から4%あたりに落ち着く。経営に深刻なダメージを与えるような数字だとは言い難い」という一方、都内の某有名私立大学のケースを見ると、2024年度には入学金だけで約26億円あり、うち実際に入学した学生分は約14.4億円。差し引きで約11.6億円は辞退者が払った入学金を大学が得る、ということも起きている。
そんな中、文部科学省に応じる大学も出てきた。桃山学院大(大阪)は、入学金23万円のうち最初に5万円のみ納入する「分納制度」や「約8割返金制度」などを導入。新潟工科大は3月末までに辞退すれば入学金20万円を全額返金するとした。また文化学園大(東京)は入学金を含む「入学時納入金」77万~95万円のうち10万円を除く金額を返金すると決めた。
■入学金の返還が大学のメリットになるケースは?
