■入学金の返還が大学のメリットになるケースは?
岡山の美作大学も、来年度から辞退者の入学金の全額返還を決めた大学の一つだ。美作大学は在籍学生数が788人で、女子8割・男子2割の私立大学。1学部3学科(大学生活科学部 食物学科・児童学科・社会福祉学科)があり、2024年度は約190人が入学。学長の桐生和幸氏は「全体の入学者に対して10%弱が辞退した」と説明した。入学金は27万円のため総額は400~500万円ほどとなり、来年度も同じような受験者・辞退者が出れば、その分を返金することになる。
返金について桐生氏は「私どもの大学は中国地方の中山間地域にある。我々のところに来る学生は、もともと経済的にすごく裕福な人ばかりではなく、食・子ども・福祉に関係する専門職の資格を得て、地元で働きたいという学生が多い。これまでも入学金も含めて、授業料に関しても相談はかなり受けてきたし、そういった学生たちの事情を汲んでしっかり対応することをしてきた。その過程で、入らないのに入学金を取るのはどうかという意見も、全くなかったわけではない。そういった状況の中で通達が来たので、学内の議論でも特に大きな反対もなく決まった」と経緯を説明した。
大学の規模を考えれば400~500万という収入は軽視できないものではある。「もちろん、いただけるものがあれば、ありがたい」と経営者としての本音はありつつも「うちの大学は公立大学との併願が多い。(美作大学を)辞退した方にも聞いてみると、やはり同じ食・子ども・福祉の分野を持つ公立大学に受かったからということが多かった。併願校として、安心して受けていただけるということもあるかなというのも、決断した要因の一つだ」。辞退者の入学金を返さないことよりも、辞退後に返金することが併願校として選択されるケースが増えるというメリットを感じたと述べていた。
(『ABEMA Prime』より)

